首相の伊勢神宮参拝に対する抗議声明

 安倍首相が再び首相として一月六日伊勢神宮参拝を行ったことに対し、私たちは、次の通り強く抗議の意志を表明します。

一 国の最高の行政機関である首相が、特定の一宗教法人である伊勢神宮に参拝することは日本国憲法の政教分離の原則に違反するものでとうてい許されるものではありません。歴代首相と同様に行った、との弁明をするとしてもそれは全く理由になりません。
二 特に、伊勢神宮については、戦前戦中における、旧満州の皇帝への参拝強制、陸海軍の集団参拝、生徒への修学旅行の名の下での参拝強要など、信教の自由の否定にもつながる、戦争への深い関わりを持つ歴史を想起せざるを得ません。
 さらに広く歴史を直視すれば、戦前戦中の長期間にわたって、日本は、天皇制・国家神道体制下にあって、政教分離はもちろん信教の自由もなく、政教一致の教育がなされ、伊勢神宮参拝、靖国神社参拝などが当然とされ、ひいて思想・良心の自由もなく、他国特にアジア諸国に対しては、「日本は天皇を中心とする神の国」として、侵略・加害の歴史を繰り返したものであります。これらの歴史について、伊勢神宮の深い関わりを否定することはできません。
三 日本国憲法下での首相としては、このような歴史の教訓を心に刻み、従来の首相参拝の悪しき前例に従うことなく、自らを戒め、日本国憲法を尊重擁護する義務と責任に留意し、伊勢神宮に参拝しない態度を表明すべきであります。
 しかるに安倍首相が、先の首相再任後の二〇一三年一月の当政教分離の侵害を監視する全国会議の厳重な抗議をも全く顧慮せず、敢えて参拝を行ったことは、憲法に真っ向から違反し、歴史を省みないものであり、許されざる行為であります。

 私たちは、以上の理由により、安倍首相の伊勢神宮参拝の強行に対し、再度厳しく抗議するものであります。
 
二〇一四年一月六日

政教分離の侵害を監視する全国会議(「政教分離の会」)
                事務局長 西川重則

内閣総理大臣
  安倍晋三 殿