安倍晋三内閣による集団的自衛権の行使容認は
重大な憲法違反であり、その撤回を要求します
 
内閣総理大臣 安倍晋三殿
 このたび安倍晋三首相は、これまでの歴代内閣で憲法では禁じられているとされてきた集団的自衛権の行使を容認する内容の憲法解釈の変更を決定するという暴挙を、さる7月1日午後の臨時閣議で行いました。それこそ黙視することのできない極めて重大な憲法違反であるがゆえに、厳重に抗議し、その撤回を強く要求します。

 この閣議決定が重大な憲法違反であるのは、日本国憲法の基本原則を根本から揺るがすような憲法解釈の変更を、広く国民に問うこともなく、国会の慎重な議論を経ることもなく、閣議決定のみで決定したという驚くべき事実にあります。憲法の基本原則は、前文に遺憾なく提示されています。制定の目的を述べた第一段で、「自由のもたらす恵沢を確保し」という文言で基本的人権の保障を重要な価値として掲げ、次いで「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」という文言で平和主義を唱え、さらに「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という文言で国民主権を謳い上げています。この基本的人権の尊重・平和主義・国民主権こそ、日本国憲法の三大原則です。そして第一段は「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」という文言で結ばれ、この憲法の三大原則こそ「人類普遍の原理」であり、この三大原則に反する憲法改正は認められないのだと明言しているのです。今回の安倍内閣の閣議決定による解釈改憲は、この三大原則を踏みにじるものであるがゆえに、重大な憲法違反であると断じざるを得ません。
 
 第二段は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と、三大原則の一つである「平和主義」について述べています。「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とこの段落を結ぶことで、一国平和主義を克服し、平和的生存権を「全世界の国民」にまで広げ、平和を国家政策の問題を越えた人権の問題として位置づけています。こうして「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」という文言で結ばれる前文は、戦後日本が目指すべき価値を「徹底した非暴力平和主義」として打ち出した力強いメッセージなのです。前文も憲法の一部であり、憲法の尊重擁護義務を負わされた内閣が、この前文に反する行動を取ることは断じて許されません。その断じて許されないことをしてしまったのですから、その撤回を強く要求することは、主権者である国民として当然のことであります。
 
 憲法の徹底した非暴力平和主義は、第9条に