日本基督教団・在日大韓基督教会 2014年共同の平和メッセージ
日本基督教団・在日大韓基督教会 2014年共同の平和メッセージ
日本基督教団総会議長 石橋秀雄
在日大韓基督教会総会長 趙 重來
「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイによる福音書 5章9節)
2014年7月1日、安倍政権は「直接的な攻撃を受けていなくても、他国の戦争に参加する」という集団的自衛権の行使を閣議決定しました。これは「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明確に憲法9条で謳いながらも、自衛のための軍隊を持ち続け、周辺諸国と武力による直接・間接的なせめぎ合いを続けてきた日本の軍事状況が、新しい段階に入ったことを意味します。これによって、日本国は、政府の決定によって、ついに「戦争に軍事力で加担できる国」となるのです。
また、2013年12月26日の安倍首相による靖国神社公式参拝を皮切りに、現役閣僚や与党国会議員たちによる靖国参拝が相次いでいます。韓国・中国が「参拝の自制」を繰り返し呼びかけているにもかかわらず、あえて参拝をして、国際的な緊張を高める政府関係者たちの姿勢は、アジア諸国だけでなく、国際的にも広く批判を巻き起こしています。
さらに、1993年に宮沢内閣当時に出され、いわゆる「従軍慰安婦」の問題に関する旧日本軍の責任を認めた「河野談話」の見直しも進められています。第一次安倍内閣は2007年3月、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」との答弁書を閣議決定し、続いて現在の第二次安倍内閣は今年の3月に河野談話の「検証」を行うことを発表しました。その結果、河野談話の作成にあたって、日韓の間で内容のすりあわせが行われていたことなどを発表し、河野談話の信憑性を落とし、公式見解としての価値を形骸化させようとしています。このことは、戦争責任に対する歴史的反省を忘却する歴史修正主義的な行動として、韓国で大きな非難を呼び起こしています。
一方、ここ数年来高まりを見せているヘイトスピーチ問題はいまだに収まっておりません。各地で憎悪に満ちた差別発言が相変わらず大音量でまき散らされており、これを規制する動きは全く見えません。むしろ、常に「言論の自由」が規制を不可能にする大義名分として取り沙汰されます。
わたしたち日本基督教団と在日大韓基督教会は、アジア・太平洋戦争の責任に対する罪責告白を神の前に想起し、かつての誤った道としての戦争がもたらした測り知れない犠牲と悲劇を深く心に刻み、平和の主イエス・キリストによる和解と平和を祈り願いつつ、以下の通り表明します。
一、わたしたちは、人々の心に「敵」への恐怖心と憎悪を煽って、軍事大国としての国のか