声明文:憲法9条を世界の宝に
 「憲法9条をノーベル平和賞に推す神戸の会」                                  2014年10月10日
 今回,残念ながら,ノーベル平和賞を受賞するにはいたりませんでした。「憲法9条をノーベル平和賞に推す神戸の会」は,これまで運動を展開してきた民の願いがさらに発展していくことを信じてやみません。
  日本だけでも約310万人,アジアでは2,000万人以上の犠牲を経て,私たちは日本国憲法を手にしました。1945年8月に日本が受諾したポツダム宣言 は,戦後日本の原点であり,そこには日本からの軍国主義の払拭と戦後日本における民主主義の確立が表明されています。日本国憲法の前文は,「日本国民は, 恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」するとともに,「全世界の国民が」「平和のうちに生存する権利を有すること」を宣言 しました。そして,本文の第9条で,戦争の放棄,権力の不保持,交戦権の否認を高らかに規定しました。
  その後の冷戦時代を経て,ソ連崩壊後の 現在においても,国際紛争や民族間の争いをもっぱら武力によって解決しようとする試みが,繰り返しなされてきました。その結果,暴力による威嚇や武力行使 が,より大きな暴力を引き起こし,より大きな紛争の火種となってきたのが歴史の教える事実であります。そして現在も地球上の各地で争いの絶えることがあり ません。
 日本の歴代の政府は種々の誓約を行ってきました。第1に,非核3原則です。第2に,武器輸出3原則とそれを拡充した武器輸出に 関する政府統一方針です。第3は,防衛予算GNP比1%枠の厳守です。第4は,海外派兵の禁止です。第5は,憲法第9条の下において,集団的自衛権の行使 は認められないと表明したことです。第6は,閣議決定として徴兵制は認められないとしたことです。
 その後,政府の施策運用の中で,以上の原則は空洞化されたり骨抜きにされたりしてきました。しかし,戦後の日本国民が一度も戦争を行わなかったのは,憲法第9条の存在が大きな要因であると考えます。
  日本は,ヒロシマ,ナガサキへの原爆投下に引き続き,今また,東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響下にあり,核によって呻いています。今年,原爆の 犠牲者を偲ぶ日本の首相の声明には,無視できない変化がありました。戦後一貫して「私たち日本人は唯一の被爆国民」としていた部分が「惨禍を体験した我が 国」に変わったのです。「民」が消え去り,「国」が前面に出て来たことは象徴的です。この首相の下で,特定秘密保護法が成立し,集団的自衛権を認める国に 変貌した日本は,「戦争のできる国」に変わりつつあります。
 思い返せば,1789年のフランスの人権宣言や,1776年のアメリカ独立宣言も,長い年月をかけてその地に生きる民の生き方に定着してきたものであることを思います。
 皆さまにお願いがあります。一緒に平和に向けて