(C)2014 ZIGGURAT FILMS
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スペインのアンダルシア地方に生まれたフラメンコをジャズ、フユージュンの世界に確たるジャンルを築き“フラメンコに革命を起こした”と評されたギタリスト、パルコ・デ・ルシア(1947年12月21日~2014年2月26日)。彼の生い立ちと音楽的邂逅に刺激され創造された輝きと孤高の内面に迫るドキュメンタリー。アーティストとして評価され、妬みを受けても、アーティストへのリスペクトを忘れることなく、時には苦悩に耐えられず身を引く謙遜な姿に、音楽への情熱に生かされた愛情の深さを教えられる。

【あらすじ】
フラメンコの起源は、ヒターノといわゆるムーア人、イベリア半島や北アフリカに住んでいたイスラム教徒という2つのエスニック・グループの文化的影響が大きく、アンダルシア地方なかでもセビリアやカディス周辺のアンダルシア西部が本場とされている。パコ・デ・ルシアは、カディス県の港町アルヘシーラスで生まれた。

7歳の時にギターを手にし、早くギターで身を立てて貧しい家計を助けたいと思っていたパコは、12歳の時に歌手をしていた2歳年上の兄ペペとコンビを組み話題となった。14歳の時、舞踏家ホセ・グレコのアメリカ公演へオファーを受けて渡米。ニューヨークで活躍していた大先輩ギタリストのサビーカスと出会う。パコは、サビーカスのアドバイスを得て、やがて自分自身の音楽の創造に目覚め、才能を開花させていく。

自ら演奏する音に響きに対するこだわり、共演者らに求める正確なリズム…。完璧主義者のアーティストとして歩むパコ。だが13枚のアルバムを世に送り出した相棒の天才歌手カマロン・デ・ラ・イスラ(1950年12月5日~1992年7月2日)との出会いと死別。増えるテレビ出演とルンバ「二筋の川」の商業的大成功などからパコの演奏に対して、フラメンコから逸脱しているとの厳しい批判が浴びせられる。

だが、時代のうねりはスペインにも及ぶ。国外から著名なアーティストが続々とスペインを訪れる。アンダルシアの伝統音楽に閉じ籠っていたフラメンコにも新たな局面が開かれていく。パコは、ギタリストのジョン・マクラフリン、カルロス・サンタナやジャズ・ピアニストのチック・コリアらなどともステージで共演し、自由なテクニックと即興性を会得し自ら実験的セクステットを結成して斬新なフラメンコ音楽を創造し、ワールドツアーにチャレンジしていく…。

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【みどころ・エピソード】
パコ・デ・ルシアは通称で、本名はフランシスコ・グスタボ・サンチェス・ゴメス。通称の由来は、“パコ”はフランシスコの愛称だが、スペインではキリスト教の聖人フランシスコを子どもの名前に付けるがあまりにも一般的なため区別が付けにくいため、母方の姓“ルシア”を付けて呼ばれていた。

本作の監督クーロ・サンチェスは、パコ・デ・ルシアの長男。2011年のパコの演奏ツアーのドキュメンタリー映画も製作したが、本作はマジョルカ島のパコの自宅でパコが語るシーンから始まる。演奏ではカメラをかなり意識し緊張するといわれるパコが、ごく自然に内心を語る姿はやはり息子との語らいの延長ゆえか。世界のアーティストから“神”と称される厳しく孤高に生きるイメージではなく、与えられた才能を生かすことに独力し、家族とひとを愛し信頼する優しい人柄が滲み出ていて惹かれる。 【遠山清一】

監督:クーロ・サンチェス 2014年/スペイン/90分/映倫:G/原題:Paco de Lucia: la busqueda 配給:レスペ 2016年7月23日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー。
公式サイト http://respect-film.co.jp/pacodelucia/
Facebook https://www.facebook.com/pacodelucia.movie/

*Awards*
2015年:ゴヤ賞ベスト・ドキュメンタリー賞受賞。CEC AWARDSベスト・ドキュメンタリー賞受賞。TURIA AWARDSベスト・ドキュメンタリー賞受賞。