日本キリスト教会人権委員会が安倍総理、菅官房長官宛てに高江ヘリパッド工事強行および住民・記者への暴力的排除に対する抗議声明
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
官房長官 菅 義偉 様
2016年8月30日
日本キリスト教会人権委員会
委員長 古賀 清敬
高江ヘリパッド工事強行および住民・記者への暴力的排除に対する抗議声明
冠省。
安倍政権が、7月の参院選直後、全国から警察機動隊数百名を導入して、沖縄住民の平和的反対行動を弾圧し、高江地区のヘリパッド基地工事を強行している暴挙に対し、強く抗議の意を表明する。
反対住民の一般道路の通行を不法に遮断し、思想・表現の自由と通行権を侵害しているのは強圧的な人権侵害であり、法治国家の衣をかなぐり捨てた権力の濫用である。
さらに、去る8月20日には、沖縄タイムスと琉球新報の報道関係者をそれと承知の上で強制排除し、正当で公正な報道を妨害したことは言論の自由と住民の「知る権利」に対する侵害であり、断じて許されるものではない。
これら一連の強行政策は、沖縄では政府・自民党が参院選で敗北したことに対する政治的報復行為とみなされ、民主主義の手続きを放棄し、沖縄県民の意志を強引に押しつぶそうとする差別的弾圧にほかならない。
貴職らは、「国民の生命と安全を守るのが政府の使命」と常々謳っているが、沖縄県民は「国民」ではないのか。沖縄住民を弾圧して、米軍の便宜を図っているだけではないか。
また、防衛予算は増額しても、沖縄への振興予算は減額するという措置も、沖縄へのあからさまな報復的差別であり、国民全体へのみせしめを狙った幼稚で狡猾な政略というほかない。
わたしたちは、ひとり一人の尊厳と人権を中心に据えた、正義と公正にかなった政策のみが真に平和を作り出す可能性に開かれていることを信じる者として、貴職らが、強引な手段でみずからの政治的意図を実現させようとする傲慢な態度を改め、謙虚に県民に寄り添い実情を正しく把握したうえで、真実と忍耐をもって対話を継続することを強く要請するものである。
以上。
(連絡先)兵庫県西宮市豊楽町2-11
日本キリスト教会夙川教会気付
日本キリスト教会人権委員会書記 石束 岳士