CD「ULTIMATE GOSPEL upgrade version」 Elvis Presley
キング・オブ・ロックンロールと称されたエルヴィス・プレスリーの没後30周年を記念して2007年8月(16日が命日)にBMG JAPANからリリースされた。
プレスリーは、生涯に3度グラミー賞を受賞しているが、その3枚のアルバムはいずれもゴスペル。「His Hand In Mine」(心のふるさと)、「Golden him」、「He Touched Me」(至上の愛)などから編集されたまさに究極のゴスペル・アルバム。プレスリー映画やステージ受けするポピュラーな楽曲とは異なるプレスリーの世界が味わえる。
ノーマル版(24曲収録)はデビュー50周年メモリアルとして2004年に出されたもので、このアップグレード版では「MIRACLE OF THE ROSARY」が除かれ、「IN MY FATHER’S HOUSE」「AN EVENING PRAYER」と、ボーナストラックとして「WORKING ON THE BUILDING」「FARTHER ALONG」など4曲を加えた27曲を収めている。
プレスリーは、黒人のリズム&ブルース(R&B)と白人のカントリー&ウェスタンを融合させた歌唱で、ロックを確立させたアーティストとして知られる。このゴスペルのアルバムはその感性を余すところなく伝えてくれる。
最初の曲「HOW GREAT THOU ART」は日本でも広く歌われている聖歌。3曲目の「AMAZING GRACE」は、きれいに洗練された編曲で演奏される今日、バックコーラスとの絶妙なサウンドで暗闇からの解放を力強く証しているかのよう。21曲目の「WHO AM I?」は、信仰告白であるかのようにも聴こえる。また、「JOSHUA FIT THE BATTLE」(ジェリコの戦い)、「SWING DOWN SWEET CHARIOT」、「(THERE’LL BE) PEACE IN THE VALLEY (FOR ME)」(谷間の静けさ)などは1950、60年代に活躍した黒人霊歌では定評のユニット、ゴールデン・ゲイト・カルテットの懐かしいサウンドを彷彿とさせられる。
27曲それぞれに多彩な歌唱と色彩さえ感じさせられる声の素晴らしさに、プレスリーの人柄が伝わってくるアルバムだ。 【蟹】