MOVIE「クリスマス・キャロル」――ディケンズの名作 時を超え心に響くアニメ作品に
1にも2にもお金が大切。クリスマス会に招待されても、貧しい人々への寄付を頼まれても、金にならない、無駄だと言い捨てる主人公スクルージ。イブの晩、家に戻ったスクルージの目の前に亡き仕事のパートナー、マーレイの幽霊が現れる。同僚の姿や言葉に恐怖と疑いを抱きつつ、亡霊との過去、現在、未来への旅を通して、そこにあるけちで嫌われ者の自分の姿に呆然とする。
バックにクリスマスの賛美歌が流れ、「亡霊」の語りかける言葉は聖書のメッセージそのまま。頑なにお金に執着するスクルージの心は、亡霊との旅路の中で溶かされていく。「イエス様は、冷たく硬い心をもつ人をも温め、救うために生まれてくださった」。そんなメッセージが心に迫る。小説で読んだ、感情の機微や町の空気感が最先端技術を駆使して再現され、ディケンズファンの期待を裏切らない作品だ。【奥山みどり】 製作/監督/脚本ロバート・ゼメキス
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