©LES PRODUCTIONS CINEMATOGRAPHIQUES DE LA BUTTE MONTMARTRE / ROMMEL FILM / MANNY FILMS / STUDIO 37 / HOME RUN PICTURES
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「人生のエンディング・ライフ、あなたはどう迎えたいですか?」。このキャッチフレーズが、現実的に響いてくるのは何歳ぐらいからだろう。70代半ばを迎えた5人の友人たちが見出した一つの答えは、仲間と笑顔とシャンパンで楽しく一緒に暮らすこと。ただ、そう決まるまでにはいろいろ考えの違いがあるし、四六時中同じ屋根の下で暮らせば、知らなくてよかったこともさらけ出されてくる。そんなトラブルをクリアして行けるかどうかが大人の知恵と心の機微をくみ取れる人間味の見せどころ。老いてもなお青春な5人。なんとも新鮮なアイデアと人生の滋味を見せてくれる。

パリの郊外に住むアルベール(ピエール・リシャール)とジャンヌ(ジェーン・フォンダ)の夫婦、ジャン(ギイ・ブドス)とアニー(ジェラルディン・チャップリン)の夫婦、妻は先立ち独身生活を謳歌するクロード(クロード・リッシュ)の5人は、40年来の友人同士。この日もクロードの75歳の誕生日を、遺産で受け継いだアニーの館で祝い、シャパンを酌み交わし会話を楽しむ。その帰り、アルベールが「明日は(クロードの)誕生日だな」と一言。「今お祝いしたばかりじゃない!」と驚くジャンヌ。認知症が進んでいる。

ジャンヌ自身、誰にも打ち明けてはいないが重い病気を持ち、余命わずかなことを知り、覚悟している。自分がいなくなった後、夫のことが気がかりでもある。楽しい仲間たちに共同生活を提案するが、ほかの4人は話に乗ってはこない。

日記を付けることと犬との散歩が日課のアルベール。だが、ある日犬を御しきれなくなり、散歩中に転倒して救急車で運ばれた。それでも犬がいない生活は考えられないアルベールのため、クロードが散歩に付き合うようになった。犬に引っ張られていく老人2人の散歩。ジャンは、犬の散歩係に民俗学を学んでいる青年ディルク(ダニエル・ブリュール)を雇うことにした。

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ある日、いまも若い女性に夢中なクロードが、付き合っている最中に心臓発作を起こして入院した。だが、その事実を息子に説明できないため、独り暮らしを心配する息子はクロードを老人ホームへ入居させてしまう。訪問に行った4人は、「ここは化石ばかりだ」と嘆くクロードをホームから連れ出し、アニーとジャンの館に匿ってしまう。こうして、心理学者のアニーと市民運動家だったジャン、元哲学教授のジャンヌと記憶を失っていくアルベール、そして女性好きのクロードら5人の共同生活が始まった。知的で個性豊かな彼らの生活に、いろいろなトラブルが起こってくる。そこに、民俗学の研究テーマに老人5人の共同生活を選んだディルクも居候することに…。

自分の人生の最後を、自分らしくどのように送りたいか。ジャンヌが自分に問いかけたこの答えは、気心の知れた親しい人たちと、夫に対する気遣いと愛情。そして、自分の経験に基づいた人生観からの若いディルクへの提言。’人は、どこから来てどこへ行くのか’といような問いではなく、’今を生き、どう生きたいか’について明るく、前向きに描いている。酸いも甘いも噛み分けられる年代ならではの、温かな気持ちを湧き起こさせてくれるラストシーンが、映画を観終わった後の会話を豊かにしてくれることでしょう。 【遠山清一】

監督:ステファン・ロベラン 2011年/フランス=ドイツ/96分/原題:Et si on vivait tous ensemble? 配給:セテラ・インターナショナル、スターサンズ 2012年11月3日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

公式サイト:http://www.cetera.co.jp/minna/