10月29日号紙面:みことば愛する世代生み出す 聖書同盟60年 CSK50年
聖書同盟(稲垣博史理事長)は、10月14日、東京・渋谷区のhi-b.a.センターで「聖書同盟・CSKムーブメント60」を開催した。これは、聖書同盟の発祥となった英国のスクリプチャー・ユニオンの働きが今年150周年を迎えたのを機に、3年前に60周年を迎えた聖書同盟と、来年50周年を迎えるCSK(中学生聖書クラブ協会)の関係者が一堂に会し、その働きを祝うもの。両者がこのような形で集まるのは初めてのことであり、稲垣氏は会の冒頭、「3年前に理事長に就任してから、聖書同盟、CSKの一緒の集まりをしたい、というのが私の夢でした」と挨拶。当日は、聖書同盟のもう一つの働きであるISC(国際キャンプ)の関係者も加わり、その60年に及ぶ歴史を反映して中学生から高齢者まで82人が参加した。【髙橋昌彦】
英国で結成されたスクリプチャー・ユニオンは、元々1867年に始まった子どもたちへの伝道に端を発し、その信仰の成長のため聖書日課を発行するようになった。その子どもたちが成長するにつれ、大人にもそのような聖書日課が必要だということで、解説付きの聖書通読誌「デイリーブレッド」を発行するようになる。日本での歴史も古く、83年には「聖書之友」が発会し、まず聖書通読計画表を発行、その後解説付きの聖書通読誌を発行するようになる。
この働きは、戦時中の紙不足や政府のキリスト教弾圧等により1943年に中止するが、戦後のキリスト教ブームの中で、54年に現在の「聖書同盟」の働きが開始され、翌年1月から聖書日課誌「みことばの光」の発行が開始された。一方、聖書同盟とは別の組織として68年にCSKが結成され、中学生キャンプの後援、教師研修会の開催、中学生向けの聖書通読誌「ジュニアみことばの光」の発行が行われたが、84年には聖書同盟と合同し、現在に至っている。
スクリプチャー・ユニオンの活動は、世界130以上の国に広がり、聖書同盟はその中で東西アジア地区での交わりと具体的な協力活動を続けるが、数年に一度開催される青少年国際キャンプISCもその活動の一つであり、日本からも参加者を送り続けている。
稲垣氏はあいさつの中で「聖書同盟は聖書日課『みことばの光』の発行元として認識されているが、元々は子どもたちへの伝道という福音宣教のためのムーブメントから始まったもの。高校生にはhi-b.a.(高校生聖書伝道協会)があり、大学生にはKGK(キリスト者学生会)がある中、戦後の教会の中で置き去りにされていた中学生たちに聖書のみことばを通してキリストを知り、成長してほしいという願いで、CSKの働きが加えられた。その目的は、聖書に親しむとともに、多くの人にその素晴らしさを紹介していくこと。この働きがムーブメントとして継続していくためには、若い信仰者の皆さんがその一端を担って『ムーブ』してくれることが非常に大切な要素だ」と語った。
礼拝では岩井基雄氏(CSK委員会副委員長)がコロサイ3章16節からメッセージ。「この働きには2つの使命がある。1つは聖書通読であり、もう1つはみことばに従って歩む次世代を育む、ということ。みことばにどこまでもこだわり、みことばに問い続けた信仰の先輩たちから受け継いだバトンを、今さらに次の世代に渡そうとしている。そういう時を迎えている。神は私たちに全人格的な成長を願っている。それは教会を通し、友を通し、信仰の導き手を通してもたらされる。コロサイの教会はこの時混乱の中にあった。混乱の時にこそ、人ではなく、神ご自身とそのみことばに従う。問題を通して成長し、弱さを通して主の恵みを知る。主の教会と私たちの成長の基盤はみことばである。コロサイの聖句には2つのチャレンジがある。みことばに従って生活する、みことばによる交わりこそ私たちの使命。また、みことばに基づいて神をほめたたえること。自己中心から神に向かう者に整えられていくこと。この賛美、感謝を周囲に広げ、届けていくことが求められている。日々の生活の中で、受けるよりも与える方が幸いである、という言葉に生きてほしい、と主は願っている」
礼拝後のムーブメントタイムでは、「みことばの光利用者」「歴代総主事を知っている」など、テーマ別に6つのテーブルに分かれて交わりを持ち、合間に証しが分かち合われ、CSKキャンプで行われる「ピーターパン体操」、毎回ISCで披露される「よさこいソーラン」の実演もあった。
最後の応答のときでは、嶋田博考総主事が奨励。聖書同盟の働きが持っているメッセージは「聖書そのものに親しみ、養われ、導かれること、それは全生涯にわたるものだということだ」とし、「この働きは、自分で聖書を読み、自分で神との関係を求めることができる世代を育てること。みことばを愛する次の世代の教会を生み出す働きだと言える。神様がくださる新しい働きの展開に皆さんと一緒に一歩を踏み出したいと願っている。神様が聖書同盟を通してなそうとしている業はまだまだ大きいと確信している」と語った。