4月29日号紙面:熊本・大分地震から2年 信徒、教会 フェスタでつながる 高森で第1回復興支援イースター
2018年04月29日号 01面
震度7を観測し、甚大な被害をもたらした熊本・大分地震から2年がたった4月14日、「第1回復興支援イースター つながるフェスタ2018in高森」(熊本宣教ネットワーク主催)が、阿蘇郡高森町の高森キリスト教会で開催された。当日はあいにくの雨だったが、教団教派を超え17教会から160人を超える参加者が集った。門野肇氏(日本宣教連合会・熊本いずみ教会牧師)のレポートを紹介する。(2面に関連記事)
当日は、熊本の地域教会により形成される熊本宣教ネットワーク主催で開催されました。会場は、阿蘇山の南東に位置する高森町にある高森キリスト教会。足元の悪い中ではありましたが、賑やかなフェスタとなりました。一般の団体からもグリーンコープさん、唐揚げ店など地域とのつながりの中で参加してくださいました。
会場では、唐揚げやうどん、炭火焼きといった軽食のブースからフリーマーケット、子どもの遊び場としてアトラクションブースなどそれぞれを眺めるだけでも楽しくなる雰囲気がありました。
メインホールの教会堂では、地域教会ごとに準備されたバンドやダンス、オペラ、ゴスペルフラ、二人羽織など、それぞれのオリジナリティーあふれる発表が行われました。特に、元気の良い子どもたちの発表は、客席で応援する保護者の方々だけでなく、聞くものみんなを元気にし、将来を期待させるパフォーマンスとなりました。
このイースターフェスタの特徴を挙げるなら、「教会の信徒たちの主体的な参加とつながり」という点を挙げることができます。熊本宣教ネットワーク代表の中出牧夫牧師(熊本ナザレン教会牧師)も、「今回の集まりは、今までの集会やコンサートのように私たちが企画して信徒に来てもらうという形ではなく、自ら楽しみながら参加できるような集まりになることを期待していました。参加者の予想を超える反応に、私自身も驚いています」と語られています。
信徒の方々へのヒアリングにおいても、「楽しい」「励まされた」「うれしい」という明るい反応が多く、その中でも熊本にある他の地域教会の兄弟姉妹との交わりに喜びを感じている方々が非常に多くいらっしゃいました。
ある女性は、「同じ神様を信じているということを出し物や交わりを通じて、より実感できました」。教会の日曜学校に子どもを通わせている保護者の方も、子どもたちが発表会で生き生きと歌い踊る姿を見て、子どもの成長を実感すると共に、他の教会に通う子どもたちの姿を目にすることによって、教会の存在の素晴らしさを改めて実感したそうです。熊本地震以降に地域教会の牧師同士の間で、結ばれてきたつながりが、信徒レベルにおいても結ばれていく可能性を感じます。
今回のフェスティバルのような形の集まりは、一般の方々にとっても、教会という普段は敷居の高く感じる場所に入っていくための良い機会となったようです。地元の高校からボランティアで参加した高校生たちは、「キリスト教、教会という場所の堅苦しいイメージが変えられました。本当に楽しいです」という感想を話してくれました。
最近教会に来られたばかりの人たちが、食べ物ブースの運営に参加したり、出し物に出演されたりして、関係がより深まる素晴らしい機会になりましたと語る兄弟もおられました。南阿蘇地域においては、いまだに回復の途中であるということです。
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ただ、このような楽しい雰囲気の中、私たちが常に心に留めていることは、熊本地震において被災された益城町、西原村、
この日は、熊本地震の前震からちょうど2年でしたが、震災以降、被災地において支援活動を行っているNPO法人九州キリスト災害支援センター(九キ災、横田法路代表)は、「あむっ茶」という仮設住宅の住民により作成された編み物などのアクセサリーのブースを出展し、被災地の現状を訴えました。
九キ災の関わる仮設住宅では、震災で住居が損壊し、仮設住宅に住まざるを得なくなった人たちの8割以上がいまだに仮設で生活し、将来に不安を抱えているそうです。国や県により、これから公営住宅の建設など住環境を改善しようという動きはありますが、震災後に築かれたコミュニテーが再び壊れてしまうことにより、孤独になってしまう方々が多くなるのではないかとの予測が立てられています。
あるスタッフは、将来さらに教会の被災地への積極的な関わりが期待されると語り、ある牧師は「熊本地震によって教会が受けた傷の回復は、地域の被害の回復よりも遅いようにさえ感じる時がある」と語ります。
私もある意味、それは的を射た告白であると思います。それは、熊本地震が私たちにとって、信仰というものを実際の体験として試される時であったし、残念なことに大きな挫折を感じる時になってしまったからです。
しかし、熊本の地に熊本宣教ネットワークが誕生し、今回のようにイースターフェスタを開催できたのは、熊本地震が教会の、また私たちの持っていた既成の価値観を崩し、特に教団教派という壁に穴を開けてくれたからだとも思うのです。そして、バラバラであった部分を一つのキリストの体として建て上げられる主に導きを、震災以降の熊本の地に感じています。