写真=観客も作品の投票に参加した。

東京で初めての開催となった「ダマー国際映画祭」では、5月10日初日から国内外で活躍する映像作家による短編作品が上映された。

各作品の色あい、テンポ、フォーカスの当て方、テーマ、人物構成、ストーリー展開は異なる。ジャンルも実写、アニメ、ドキュメンタリーと様々だ。

ユーモアがあって、心温まる展開もあれば、シリアスで心がえぐられるような場面もあった。

多様な感性、創造力に触れながら、心や人生に関わる内容を楽しめた。

写真=会場に駆けつけた監督たち。

以下は初日作品の概要と寸評。

「Memories Rewound」(長尾淳史監督・日本)は、若い映画監督が主人公。幼い日、複雑な家庭環境の中にあった。そのとき心の支えとなったビデオ店の店主夫妻との交流を回想する。

ビデオテープ、ビデオ店、それに連れて一時代前感のある舞台、小道具が写りこむのも楽しい。

大人になった主人公、ビデオ店主たち、それぞれ境遇は違う。心通った人々とのかけがえのない時間が、ー時だけではなく、その後の人生に影響を与えるものだと思わされた。

「Good Night」(南家真紀子・日本)はアニメーション。

ケンカばかりの幼い兄弟が夢の中で大冒険をする。

画用紙に鉛筆で描いたようなタッチ、そこから夢の場面では、一転してカラフルでダイナミックな映像に変わる。ロボットや怪獣も登場。手描きとデジタルの両方の良さを味わえる。

ケンカばかりの兄弟が、ある試練に直面したとき、お互いを見つめ直す。

「One Step」(マイケル・ウィリアムズ 監督・英国)。舞台は江の島の海岸。心うつろに海へ歩みを進めるセーラー服の少女がいた。毎朝この奇行を繰り返す少女を意識した男子高校生が、少女に話しかける。

果敢に少女にアプローチしようとする高校生は、コメディタッチに描かれる。

しかし人の人生を変えてしまう、心の闇は深い。

「Why the Fools Dance」(ベンジャミン・ミシェル監督 ・米国)。米国で阿波踊りの普及に努める、在米日本人たちのドキュメンタリー。室内や屋外、舞台、様々な光に照らされて踊る人々の映像は情感がある。そこに、在米日本人たちのインタビュー音声がかぶさる。米国にあって、日本人のアイデンティティーが意識される。

それは、偏狭な民族主義ではない。阿波踊りに多様な民族が集まってくる。「阿波踊りは権力者の芸能ではなく、人々の芸能」という言葉はオープンだ。

この踊りのリズムに間髪入れず、葬式の読経が響いた。続く作品の「Miles Away」(松本 沙季監督・日本)  だ。

樹々の緑、花の色、水の波紋など鮮やかに描く映像美も魅力。

葬儀の列の中には、1人、感情を押し殺した男子高校生がいた。葬儀を飛び出して公園にいく。そこに慕っていた兄が駆けつけ、一緒に水切りをする。水切りをする中で感情が高まるが、やがて意外な事実が明らかになる。

次の作品も水の波紋が映り、長崎の五島列島が見えてくる。

「Hidden Christian」(ジョナサン・シッピティー 監督・米国)は、日系米国人画家マコト・フジムラがナビゲートして、京都から長崎まで、キリシタン殉教の旅をたどる。

史跡や教会堂が美しく描かれながら、日本の文化とキリスト教、「隠れる、隠す」という日本人の心性にせまり、現代の諸問題に通じる投げかけがあった。

「Life!」(ラメッシュ・ジャイ監督・ガーナ)では、一転舞台がアフリカに。

家庭においても、社会においても厳しい状況にいる青年が、様々な人々の言葉にどんどん追い詰められていく状況をスピーディに描き、意外な結末が待つ。

観覧者は一連の作品を観た後にその場で投票した。

最後にダマー映画祭と協力関係にあるDare to Overcome Film 映画祭 受賞作品が2作品特別に上映された。同祭は、信教の自由にかかわる女性の権利について描いた作品を表彰している。

「Love Has No Borders」(デボラ・ポール/クリスティ・アナスタス監督 ・英国/パレスチナ)は米国で、難民支援をする女性たちを描いた。

「A Different Way」(ローレン・メルクリー監督・米国)は、ニューヨーク警察初の女性チャプレンを追った。

2001年の9・11テロでは最前線に立ち、警官、消防士らを励ました。また多宗教での社会的な課題への関わり、信教の自由に取り組んできた。

初日の作品群は、日本と世界の橋渡し、日本文化への注目、精神面の重視、宗教の尊重などのテーマが作品をこえて響き合っていたように感んじた。

明日も多様な映像作品を楽しめそうだ。
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