2019年01月27日号 03面

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 米国発の国際映画祭で、広島でも開催されていた「ダマー国際映画祭」が今年5月、東京で開催される。場所は世田谷区の北沢タウンホールだ。代表は米国で活躍する映画プロデューサーのマーク・ジョセフさん。宣教師の息子として日本で18歳まで暮らしてきた。ジョセフさんに同映画祭の趣旨や映画の魅力について聞いた。【高橋良知

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 同映画祭の特徴は、物語の力を表現、追求し、超越者、魂や精神のテーマに注目することだ。「ダマー」はヘブライ語で「隠喩」や「たとえ話」を意味し、人間の多様な感情や経験を大切にすることが含まれる。「日本の友人は、『日本の映画は、すべて精神的』と言っていた。米国の映画は大衆向けが多い。米国にとって精神的な映画は、日本にとっては普通の映画」と日本に期待する。

 同映画祭は2001年に米国ワシントン州シアトルで始まり、09年から広島で開催。県知事、市長も歓迎した。「ゆれる」の西川美和、「おくりびと」の滝田洋二郎など一線の映画監督を招いたり、参加型ワークショップを開くなどして5年継続した。14年からは広島国際映画祭として、引き継がれ根付いている。

 今回、東京で再開した理由として「米国では日本文化への関心が高まっている。2020年のオリンピック、パラリンピック前はベストなタイミング」と話した。

 ジョセフさんは10代から、テレビ、映像関係、音楽DJとしての働きを始め、映像、音楽プロデュースを手がけるMJMエンターテインメント・グループを設立。一般の映像作品ほか、映画「パッション」「ナルニア国物語シリーズ」などにも関わってきた。「プロデューサーは家を設計する人。監督、照明、俳優など、職人を選び、家を建てていく。人間関係もうまくしていかないといけない。様々な配慮が必要です」

 映画はクリスチャンにどんな価値をもたらすだろうか。「クリスチャンはストーリーテラーでないといけない。イエスもたとえ話を用いた。説教をすることと、物語を語ること、両方が大切です」

 「パッション」公開前に牧師向けに試写会をしたときのエピソードを紹介した。ある牧師から、「映画の最後に電話番号を表示して、クリスチャンになりたい人は、電話できるようにしてほしい」と要望があったという。監督のメル・ギブソンは、「それは役割が違う。私の役割は映画を作ること。皆さんでトラクトやグッズをつくることもできる。信仰に導くのは皆さんの役割」と述べたという。

 ジョセフさんは「ダビデの罪を指摘した預言者ナタンも、最初から『あなたは罪人』と訴えたのではなく、物語を通して、ダビデに罪を分からせた。物語を通して問題が浮き彫りになる。物語には力がある」と語った。

 ダマー映画祭は新しい才能を発掘する機会だ。「現在は、テクノロジーが発達し、誰でも映像作品をつくりやすくなった。『映画の民主化』と言える。ダマー映画祭ヘの出品は、プロ、アマチュアを問わない。宗教や国籍も問わない。もし、皆さんの教会で、実は映像制作に関心をもつ人がいたら、制作を促してみて。日本の教会の中に、隠れた素晴らしい賜物を持つ人がいたら発掘したい」と勧める。

 開催日程は5月10、11日。出品応募は3月1日まで。審査委員はスケジュール調整中だが、名作に関わってきた国内外のプロデューサーらが参加する。問い合わせ先はQinfo@damahfilm.com、Shttp://www.damahfilm.com/