CS教師セミナー 熱意と意欲満ち 「目的はイエス・キリストに出会うこと」 子どもらの側に立つ説教者に

「2019年CS教師セミナー」(いのちのことば社CS成長センター主催)が、4月13日に東京・千代田区の富士見町教会、5月18日に大阪市中央区の大阪クリスチャンセンターで開催。講師にキリスト者学生会(KGK)総主事で鳩ヶ谷福音自由教会協力伝道師の大嶋重徳さん、ゲスト講師にKGK九州地区主事の松尾献さんを迎え、「子どもたちに届く説教を目指して」をテーマに、実践的な学びと説教演習を行った。「教会教育と信仰継承」を掲げ毎年開かれる当セミナーの参加者は年々増加しており、今回東京の参加者は187人、大阪は224人と、どちらも定員150人を大きく上回った。年齢層も弱齢化し、会場は若い教会学校(CS)教師の熱意と意欲にあふれていた。

大阪クリスチャンセンターでのセミナーの冒頭、大嶋さんは「子どもたちがキリストと出会うことができるようなCS教師になれますように」と、祈り「『子どもたちに届く』説教とは」と、題して講演した。
「まず、説教ってどう作るのかという、説教黙想をしましょう。作ったものを発表するだけが説教ではありません。今、学校に行くことができないあの子に、このことばがどう響くか、教会から離れそうなあの子をつなぎ止めることばがあるか、考えましょう」
「説教の目的は子どもたちがイエス・キリストと出会うこと。パウロがⅠテサロニケ2章13節で言っているように、人間のことばとしてではなく、神のことばとして聞かれていくことが“届く”ということです。『あ、これ私のこと、俺のこと言われてる。なんでこの先生は私のこと知ってるの。ああ、そうか、神様が私のことを知ってるからだ』と、子どもたちにわかる。CSの説教体験は神との出会いにつながるのです」
「説教者の感情は必ず聴衆にうつります。説教者がリラックスして楽しそうだと、子どもたちも楽しくなる。あんなクリスチャンになりたいと思われるような情熱と感動の源泉は聖書のことばです。そこに説教の原点があります。説教者が主から何を受けたか、これが情熱の生まれるカギになります。皆さんはみことばに感動していますか。説教準備しながらみことばの喜びが湧き上がってくる。この喜びが子どもたちに伝わるのです」
「説教が子どもたちの魂に届くように、私たちは修練が必要です。私は声の出し方を練習し、リハーサルを重ねました。声の高さ、マイクの使い方、音響を使いこなすことなど、届けるための工夫が大切です。そして、説教は“お説教”ではいけない。“ねばならない”という律法主義は日本の教会の一番の課題だと思います。説教は“良き知らせ”なのですから」
「大事なことはきちんと『罪』を語り抜くことです。罪を曖昧にしていると、子どもたちは失望します。特にこの時代に、中高生に性的な罪についてはっきりと示し、十字架のゆるしを語ることは大事です。説教者は神の側に立つのか、罪を犯した聴衆の側で語るのか。同じように罪を犯した聴衆の側から語る時、子どもたちは、ああ、先生も同じ罪に苦しんでいたのか、自分だけじゃないのだと安心して、この人なら、自分の悩みを聞いてもらえるかもしれないと思うでしょう。きちんと神学的思索力を磨き、子どもとよく話し、交流から生まれたことばを説教に反映していくことが大事です。説教は絶対手抜きをしてはいけません。完全原稿を作っておくことも必要です。皆さんがみことばに立つ召命感を持てば、日本の教会学校は必ず変わります」
説教黙想用資料としてルカ19章1~10節を取り上げ、いかに子どもたちに届けるか、ディスカッションや松尾さんの実演で学んだ。松尾さんの提示したみことばと絵による「子どもに届くメッセージの作り方案」に、参加者は熱心に聞き入っていた。説教演習は日本聖約基督教団・山陽聖約キリスト教会の羽原広太郎さんと、九州福音センターの長谷中友花さん。大嶋さんと松尾さんと参加者が講評した。活発な意見交換があり、参加者の意欲に満ちたセミナーとなった。
大嶋さんは最後に「若い人たちが過酷な労働環境にある中で、一生懸命教会奉仕をしています。職場で追い詰められ、さらに教会で追い詰めることのないように、その働きをねぎらってください。拙ない説教でも、子どもたちのために懸命にやっていることは必ず届きます。教会が共に手を携え、子どもたちに届くCS教師会を目指していけますように」と祈った。