6月30日号紙面:〈福岡特集〉重症児者と共に生きる 久山療育園を応援「久山デー」 ボランティアが活躍
重症児者と共に生きる 久山療育園を応援「久山デー」 ボランティアが活躍
写真=久山療育園の利用者たちと演奏を楽しむ
キリストの福音を土台として、重症心身障害児(者)を全人的に支援する、福岡県糟屋郡久山町の久山療育園。同園を応援する毎年恒例の「久山デー」が、5月25日に、福岡市中心部にあるバプ連盟・平尾バプテスト教会大名クロスガーデンで開催された。
同園の利用者たちが、スタッフの介助で、次々と車椅子で来場。オルガンとジャズの共演、紙芝居、福岡の伝統演芸「博多にわか」とバラエティーあふれる演目を楽しんだ。【高橋良知】
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利用者たちの間からは、手をあげたり、うなずいたり、言葉にならない喜びの声で感動が伝わってきた。上半身が動かない人も、目をキョロキョロ動かせて興味を示していた。
同時に、チャリティーバザーや食事も提供。通りに開放された庭では、焼き魚、焼きそば、チヂミといった屋台が並び、通行する人々の関心を集めた。
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久山療育園の成り立ちは、1967年に開かれたバプテスト心身障害児(者)を守る会(75年社会福祉法人として認可)発足のための会議にさかのぼる 69年には支援組織「バプテストコロニー友の会」が設立され、76年に久山療育園が献堂した。
久山療育園のミッション・ステートメントでは、「われわれは、重症児(者)が社会の片隅に収容されて生きるのではなく、むしろ地域の中心に位置づけられること」を願う。運営基本方針では「社会のただ中で障害児(者)と共に生きようとするイエス・キリストの愛の証」を重視する。
療育方針は、「同園は病院であり、学校であり、家庭として、全人的なケアをする」とある。久山療育園重症児者医療療育センターでは、重症心身障害者のために、医療・看護・機能訓練・療育活動・生活指導。医療介護設備をもつ。一人ひとりの状況に合わせてケアは異なる。
近年、重症心身障害児(者)を取り巻くテーマとして在宅支援のニーズがある。在宅支援棟では短期入所、通所、相談支援、訪問支援共同生活援助事業所重症児者ホームひさやまでは、在宅の受け皿としてのグループホームを備えている。
久山療育園として、様々なイベントのほか、ボランティア講習会や有識者を招く公開講座も設けている。
コロニー友の会のボランティアの働きは大きい。「園ができるよりも先に応援団ができたのです」と同会会長の伊原幹治氏。献金の呼びかけ、街頭募金活動をしている。施設訪問には150人が登録して活動している。ワークキャンプも開催し、幼児から80代の人が参加している。参加者の中から福祉関係に進路を決める人たちも起きた。設立50年を迎え、来年は、記念講演とコンサートを実施する予定だ。
重症児者医療療育センター長の宮崎信義さんは「久山デー」を振り返り、「重症児者もそうでない人も輪になってともに集まる。天国を先取りするような豊かな交わりがあった」と振り返った。「利用者にとっても地域に出ることは楽しいこと。皆様が久山療育園に来ていただくことも喜ばしいこと。これからもぜひよろしくお願いします」と勧めた。