自分変えたヘアメイクを仕事に メイクアップアーティスト HANNAさん

「もともと見た目にコンプレックスがあったのですが、ヘアメイクが自分を大きく変えました。その経験を伝えたいと思ったのが、メイクアップアーティストになるきっかけですね」。そう語るのは、兵庫県西宮市在住のHANNAさん(アッセンブリー・西宮アガペー教会員)だ。HANNAさんは現在、神戸のサロン、atelier porto(アトリエ ポルト)でメイクコンシェルジュとして所属する傍ら、海外ミュージシャンのミュージックビデオ撮影ヘアメイク、アパレルブランドのスチール撮影、ファッションショーやメイクレッスン、ブライダル撮影など、フリーランスとしても活躍の幅を広げている。また、ヘアメイクを実演しながらのトークも行っている。(6月23日号で一部既報)【中田 朗】

ヘアメイクで性格も明るくなり、
友だちもでき、どんどん元気に

インタビュー中、HANNAさんの声ははずんでいて、とても明るい。笑い声が絶えず、人懐っこさ、気さくさがビンビン伝わってくる。そんなHANNAさんだが、「実は小学生の頃は人見知りが激しく、大人しくて内気な性格だった。自分に自信のカケラもない子ども時代を過ごしていました」と告白する。「えっ、そうだったんですか?」。そのギャップに、記者はただ戸惑いを覚えるばかりだった。
そんなシャイなHANNAさんを変えたのが、ヘアメイクだった。「たまたまメイクアップアーティストがヘアメイクをしている番組をテレビで見たんですね。『自分もやってみたら変われるのかな〜』。そう思い、母のメイク道具を借りてやってみたのです。最初は、志村けんさんの〝バカ殿様〟みたいで下手だったのですが、やっていくうちに楽しくなり、学校から帰ってからも一人で研究していくうちにうまくなりました。そうするうちに、ヘアメイクで自分に自信が持てるようになりました。性格も明るくなり、友だちもでき、どんどん元気になっていったのです」

「ヘアメイクには、ただ外見を変えるだけではない〝チカラ〟がある」。そう実感したHANNAさんは、今度は「自分に自信が持てない人が、ヘアメイクを通して自分に自信を持ってほしい、新しい自分を発見してほしい」と願い、メイクアップアーティストを志すようになった。「大学の2回生の時、私が通っていた美容室の美容師さんが、『うちの撮影のメイクに入ってくれませんか』と声をかけてくれたのです。それで、大学に通いながら、フリーランスとして仕事をするようになり、いろんな方々とのつながりを通して、いろんなお仕事をいただけるようになりました。そして、今の美容室に『メイクさんとして来てほしい』と言われ、今はその美容室に所属しながら、フリーランスの仕事をしています」

いつもと違う、奇麗になった自分
を感じてもらうことを大事に

HANNAさんのヘアメイクのテーマは「新しい自分を一緒に発見し、出会わせることのできるメイク」だ。技術的には「つや肌メイク」が得意だと言うが、「メイクだけでなく、その人の気持ちに寄り添うことを大事にしている」と話す。「皆さん、いろんな不安を抱えながらなので、一つ一つ話し、心に寄り添いながら、メイクしていきます。そして、メイクした後の自分を見てもらい、『いつもと違う自分に出会えた。奇麗になった』自分を感じてもらうことを大事にしています。心に寄り添うという部分は、教会で育ったからこそできる部分ではないかと思います」
在日韓国人で、父親が韓国人牧師、母親が在日一世のクリスチャン。クリスチャンホームで育ち、日曜日には当然のように教会学校(CS)や礼拝に出席することが日常だったので、「いつ救われたかは覚えていない」と言う。だが、高校生の多感な時期、「教会の先生や、CSのお姉さん先生が、私のために親身になって祈ってくれた」と感謝する。「本当に守られてきたんだなと。教会や、神様を信じることの大切さを痛感しました」
美容室のオーナーが理解のあることにも感謝している。「もともと大学卒業後、ハワイの美容室に就職の予定だった。ところが、トランプ大統領就任の影響でビザが出なくなり、行けなくなったのです。大学卒業の数か月前はもう頭が真っ白でした。もう祈るしかないと思い、祈祷会でも涙をもって祈っていました。そんな時に、撮影の打ち合わせで今のオーナーと会い、『お店出すのだけれど、来てくれない?』とスカウトされました。美容室は日曜日がいちばん忙しくて休めないのですが、私がクリスチャンであることを分かってくれて、日曜日は休みにしてもらっています。本当に神様がしてくださったとしか思えません」
昨年、教団のユース全国キャンプで証しをしたことで、いろいろな教会で「メイク講師兼証し」として奉仕する機会が増えたと言う。「証しを通して神様に用いていただける。本当に感謝です」と喜んでいる。