アーティスト仲間らSNSで呼びかけ 「今は祈る時。神様に思い向けたい」 令和元年台風災害復興のための祈り会

日本全国各地に立て続けに台風が上陸し、強風、大雨、浸水被害をもたらした。千葉県などは15、19号で大きな被害に遭った地域を再び大雨が襲った。このような台風被害が度重なる中、「ただただ祈らずにはいられない」と、ゴスペルシンガー有志により、「令和元年台風災害復興のための祈り会」が10月21日、東京・杉並区阿佐谷北の単立・久遠キリスト教会で開催。クラッシュジャパン(CJ)理事の山尾研一氏(単立・町田聖書キリスト教会牧師)が現地報告をした。(2、8面に台風被害関連)【中田 朗】
当日は、ゴスペルシンガーの神山みさ、坂上悦子、サルーキ=、塩谷美和、三宮すみれらが賛美をリード。賛美の中で、坂上さんが祈りをささげた。「今、人々が苦しんでいます。主よ、どうぞこの日本を哀れんでください。今、家を、思い出を、家族を、未来を失い、悲しみにくれている人々を照らしてください。凍えている人々を温めてください。主よ、あなたは人々の嘆きを聞かれる方です。私たちの心のうちをすべてご存知です。主よ、あなたに助けを求めることができますように」
山尾氏は、被害が大きかった南房総を支援した時の様子を、パワーポイントで写真を映しながら現地報告をした。「南房総は台風15号の強風で被害が大きかった地域。8、9割の家の屋根がブルーシートで覆われている地域がある。発災当初は、停電、断水に通信障害が加わり、1か月経過した今は屋根の損傷による雨漏りとカビの発生が深刻な問題となっている」
9月25日、正式にボランティアセンターを立ち上げた後、最初に来てくれたチームが町田聖書教会チームと現地出身の若い学生さんだったという。「房総最南端の布良(めら)で、男性陣は地域の人々の心の拠り所、布良崎神社で奉仕をしてくださった。集落の人々が大きな被害を受けて悲しんでいる中で、お祈りをしてから境内の災害ごみの木材の片付けを担当。廃校となった富崎小学校には町田純福音教会チームと横山唯一牧師が奉仕をしてくださった」
今回、CJとオペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)が協働で館山にベースを開いたが、現地の受け皿となってくれたのが、NPO法人安房文化遺産フォーラムの池田恵美子さんと河辺智美さんだった。「通常は被災地の近隣の教会にベースを開設し、そこで寝泊りしながら支援を継続する。だが今回導かれたのは、地域に強いつながりのあるNPO法人と一緒に支援活動を続けること。ボランティア先として行ったのが、社会福祉法人べテスダ奉仕女母の家かにた婦人の村だった(本紙10月20日で詳細)」
「被災地でいちばん大きい問題はごみの処理。館山ではそれに加え、家屋の消毒が加わる。新しい屋根修理プロジェクトも準備中で、これからも地域の人々の必要に応えていければと願っている」
山尾さんは「1か月半たったが現地の支援はまだまだこれから」と言う。だが、現地では10月18日にゴミの回収受付を終了。20日にはボランティアの受付を閉め切った。27日からは災害ゴミ持ち込みが終了になった。「これが意味するのは、15号が襲来する前の状態に戻ったと行政が判断したということ。無料で引き取ってくれたゴミが27日以降は産業廃棄物扱いとなり有料となる。でも実際は全然そうではない。これは大問題だ」と山尾さんは首をかしげる。「一般のボランティアは半年か1年で撤退するが、キリスト者はそこにい続ける。そうすることで、緊急支援だけでない、傾聴、心のケアに導かれ、そこに関係が生まれてくる。これはクリスチャンにしかできないこと。私たちはまず祈り、神様が導いてくださったところに、喜んでこの身をささげたい」と語った。
現地に、娘と一緒に支援活動に出かけた坂上さんも感想を語った。「ボランティアフォームに『娘と行きたいけれど、大丈夫ですか。何かできることはありますか』とメールをしたところ、山尾先生から『何かあると思います。ぜひ来てください』と返事があった。実際に行ってみると、館山の海岸沿いには、通常ではありえないようなたくさんの被災ゴミが打ち上げられていた。本当に行かせていただいて良かったと思うのは、現地のNPOや先生方が被災しているにも関わらず、他の被災者の方々のために走り回っている姿を、娘と私がこうしてこの場でお伝えできること。それに尽きるかと思います」と証しした。
そのほか、被害が大きかった長野県の千曲川流域で被災地支援活動をしているOBJの弓削惠則さん、栃木市で支援活動をする風間デイビッド哲也牧師とも中継でつなげ、現地の様子とそれぞれの活動報告を聞いた。参加者は被災現場で奉仕しているキリスト教支援団体スタッフや牧師、信徒らのことを覚え、祈りをささげた。
同祈り会は開催の4日前、館山などでボランティア活動をしてきた神山みささん、坂上さんらがアーティスト仲間に協力を呼びかけ、SNSを使って告知。時間がなかったにもかかわらず、約40人が参加した。神山さんは「今は祈る時。何曜日でもいいから集まって、祈り、賛美し、神様に思いを向けたいと思った」と話す。「現状ばかり見ていると『何なんだろう』って。でも集まることによって信仰を、御言葉を分かち合える。また、現地に行った私たちには『自分たちにもできたよ』みたいに情報発信する役割もあるかな、と。『Pray for all japan』というフェイスブックページも作ったので、検索してぜひ見てください」と語った。
第2回目は11月17日午後5時30分から、東京・葛飾区亀有の単立・亀有教会で開かれる。詳細は「Pray for all japan」で。