【訃報】ピアニストの工藤真史さん逝去 がんと共生しながら至上の音楽届け続ける
[訃報]ピアニストの工藤真史さん逝去
がんと共生しながら至上の音楽届け続ける
ピアニストの伊藤真史(演奏者名=工藤真史)さんが、1月3日にがんのため逝去した。48歳だった。
伊藤さんは1971年に工藤弘雄・須美子牧師夫妻の次女として神戸市垂水区で生まれた。工藤牧師の関西聖書神学校転任に伴い、神学校内で幼少期から育つ。神戸女学院大学音楽学部音楽学科ピアノ専攻卒業。同大学院音楽専攻科修了後、ドイツへ留学。ドイツ国立ヴュルツブルク、ワイマールフランツ・リスト両音楽大学院で学んだ後、ミュンヘン音楽大学で研鑽(さん)を積んだ。在学中からヨーロッパ各地のコンサートに出演するなど、活発に演奏活動を展開した。ドイツで開催されたピアノリサイタルが、南西ドイツ放送、バイエルン放送によって収録、放送されて反響を呼んだ。日本公演も積極的に開催して好評を博した。
2012年に進行性の直腸がんを発症し、帰国して手術と治療を行った。翌年には進行性乳がんを発症。治療を続けながら神戸を拠点に演奏活動を再開した。
16年にCDアルバム『COMPASSION(コンパッション)~生かされて』(いのちのことば社ライフ・クリエイション)をリリース。17年、伊藤治哉さんと結婚後は拠点を東京に移して演奏活動を続けた。18年にCDアルバム第2弾『Resonanz(レゾナンツ)~共鳴』(同)をリリース。どちらも治療の後遺症を祈りで乗り越えた、渾身(こんしん)の力を込めたアルバムとなった。
19年に治哉さんの神学校入学に伴い神戸に移る。12月、工藤牧師の牧会する岡山県の日本イエス・香登教会(坪内信治主管牧師)でのチャペルコンサートの準備中に脳転移が判明して、県内の病院に入院した。緩和ケア病棟で家族と共に祈りと賛美の日々を送り、1月3日の朝、自らのCDの流れる中で家族に見守られながら天に召された。
6日に香登教会で告別式が行われた。式場は全国から集った300人近い会葬者であふれた。司式は日本イエス・垂水教会の小平徳行牧師、説教はフリーメソジスト・神戸ひよどり台教会の大嶋博道牧師が務めた。故人を偲ぶ映像の中では、インマヌエル高津教会の藤本満牧師の追憶のことばがあった。音楽仲間が、病に向き合いながら音楽で希望を届け続けた友人を、愛と敬意を込めた演奏で送り出した。