痛みの中から立ち上がる希望 阪神淡路大震災から25年の教会

 阪神淡路大震災から、1月17日で25年が経過した。震災の痛みを抱える人はいまだ多い。教会も震災以降様々な取り組みをしてきた。25年を機に開かれた集会から振り返る。

 阪神宣教祈祷会主催の阪神淡路大震災25周年記念礼拝が1月20日、兵庫県西宮市の基督兄弟団ニューコミュニティ西宮チャペルで行われた。

 「遠き国や」の会衆賛美でスタートしたこの日の礼拝で、最初に挨拶に立ったのは、震災直後に結成された「We Love 阪神! 大震災復興ミニストリー」の代表も務めた小平照夫氏(ニューコミュニティ西宮チャペル牧師)。復興ミニストリーの母体となった阪神宣教祈祷会が設立された経緯とその歩みから振り返り、教会が協力して宣教を進めてきたという土台が大震災時に協力し合う基盤となったと述べた。

 次に秦賢司氏(JECA・夙川聖書教会主管牧師)が「復興ミニストリーの理念と体験」と題して、当時の体験を証し。復興ミニストリーの総務も務めた秦氏は、「復興ミニストリーは、各教会、各牧師の震災体験が微妙に違う中、復興の理念を掲げ実務で協力するものであった」と位置づけ、「超教派でも福祉団体でもなく、常に教会協力の理念でとらえるようにしていた」「常に霊的な復興を十分に意識して、その方向性を見失わないようにしていた」と振り返った上で、「今後も各地で災害が起こると思うが、現地の教会が主体的にこのような協力活動を立ち上げ、教会を真に復興させてほしい」と結んだ。


特別賛美は、ゴスペルシンガーの向日かおり氏。自身の被災体験を交えながら、ピアノの弾き語りで2曲を歌う。その歌声からは、あの日の痛みに改めて向き合う思いと未来への強い祈りが感じられた。

 最後に岩上敬人氏(日本福音同盟総主事)が哀歌3章19〜33節から「私は待ち望む。主の恵みを」の題でメッセージ。神戸で生まれ育ち、震災当時は神戸の教会に副牧師として遣わされて1年目だったという岩上氏は、昨秋福島を訪問した際に、東日本大震災で止まったままの時計を見て、自分の中にも止まったままの時間があることに気づいたという。「月日が流れても、薄れることなく、むしろ深まる悲しみの中、止まった時間の中で、主のあわれみにすがり、主を待ち望むことで、決してなくならない悲しみとのつき合い方を学ばされる。それは、朝ごとに新しいあわれみ、恵み、真実であり、神からのケアである」と、痛みの中から立ち上がる希望を語った。【山口暁生