「スポーツボランティアの取り組みについて」朴氏講演 多様性の調和を次の世代につなげ オリンピック・パラリンピック宣教ナショナルキックオフ大会

写真=スポーツボランティアについて語る朴氏

 東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け2月10日から12日まで、神奈川県横浜市栄区の上郷・森の家で開かれた「2020オリンピック・パラリンピック宣教ナショナル・キックオフ大会」(日本国際スポーツパートナーシップ〔JiSP〕主催)。2日目のセッション5では、「スポーツボランティアのこれまでの取り組みとこれからのビジョン」と題して朴ジョンヨン氏(神田外語大学体育・スポーツセンター准教授、スポーツ通訳ボランティア推進室長)が講演した。(2月23日、3月1、8、15日号で一部既報)

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 朴氏は、2018年に韓国・平昌(ピョンチャン)で開催された平昌冬季オリンピックに七つの外語大学から約100人を集めて通訳ボランティアとして送り出した責任者だ。朴氏は「スポーツとミニストリーをどう結び付けるか、ボランティア教育を通して神様にどうミニストリーを捧げられるか、をずっと祈ってきた」と言う。

 朴氏は、スポーツとは、教育とは、知恵と知識の違いは、などについて、スポーツの語源や、ガリレオ、ルソーなどの言葉をもとに説明。また、大リーガーの大谷翔平選手、フィギュアスケーターの羽生結弦選手、プロテニスプレーヤーの錦織圭選手などを例に、トップアスリートの共通点を指摘。▽高い目標意識、チャレンジ精神、▽若い頃から海外に進出するなどの主体性、▽環境適応能力、▽精神的なタフさ、▽自己管理能力、▽語学力・コミュニケーション力、などを挙げた。その上で、「私たちの教育の意義というのは、自分とは違う人をどう認めるかだ。その心をどう養うか考えた時に、ボランティアということがまさにそれを現しているのではないかと思う」と語った。

 「ボランティア」は17世紀初頭、「自由意思に基づいて自発的に奉仕する人」という意味で使用されるようになったが、朴氏は「神からいただいた愛徳を、社会や他人のために率先して行う人道的な活動であり、責任を伴うもの」と定義。「日本語では『協力者』。人間の小さな力が神様の前に集まって大きな力となり、社会を変えていく。それがボランティアの意味だと考える」とした。

 平昌オリンピックの時の学生によるボランティア活動の映像も紹介。「日本から100人行ったのはかつてない快挙。『たくさんの日本人の方が韓国に来てくれた』という驚きの声や、『最も気温の低い中で、心を温めてくれた』と、韓国人から感謝が述べられた。学生の成長も言うまでもなく、すばらしい経験をたくさんした。ボランティアに参加した学生の96%が『大変満足した』だった」

 今後のスポーツミニストリーの展望としては、次世代の若者(中学生・高校生・大学生)中心に、スポーツを通じたアウトリーチのプログラムを設け、若者が参加できる環境を整えることを提案。具体的には①スポーツフェスティバルを定期的に開き、地域に根差したアウトリーチとして展開する、②スポーツミニストリーを通じた学びの場(講座・セミナー)を提供する。特別ゲストとしてトップアスリートを招き、証し(信仰・経験)を聞き、クリニック開催等も取り入れる、③教会内にスポーツチームを立ち上げ、教会の一員としての自覚を持ち、スポーツを通して体を動かす楽しさや仲間間のコミュニケーションの場を作り、互いに祈り合う場や機会を設ける」を挙げた。

 最後に「人生の最大の幸福は、愛されているという実感である」というビクトル・ユーゴ—の言葉を挙げ、「外国人、健常者、障害者など様々な人々の多様性の調和を次の世代につなげるためにも、スポーツミニストリーを展開していってほしい」と結んだ。