写真左=愛する人たちのためにと、栗山泉さんが手作りしたマスク 写真右=病院に寄付するために作ったマスク用バンド

 カナダでは4月26日現在、感染者数は4万5千354人、死者数2千465人で、特にオンタリオ州、ケベック州で感染者が急増。現在、学校は休校、ほとんどの渡航者が入国禁止、飛行機もバスも止まっている状態だ。全住民に不要不急の外出制限が国から出され、街は食料品、医薬品、ガソリンなど生活必需品を売る店以外は閉まっているという。カナダ中西部のアルバータ―州カルガリー在住の栗山泉さんに話を聞いた。
  ◇  ◆  ◇
 「ナショナルパークの入口には係員はおらず公衆トイレには鍵がかかり、人が感染する可能性のあるところは閉鎖しています。私たちはリスクの高い高齢者の扱いで、娘家族への訪問も制限されています」。と栗山さんはこう語る。
 このように、カナダでは厳しい措置を取っているが、栗山さんはそれを好意的に受け止めている。「3月に入ってすぐに、トルドー首相は『自分のためではなく、自分の愛する家族のことを思って外出を自粛するように』とメッセージしていた。自分は大丈夫でも、知らないうちに感染させているかもしれない。だから自粛してほしい、と。このメッセージはとても良かった。お互いを守るためという意識が浸透しているので、カナダに住む人々の多くが自発的に家で過ごしている。休業補償もしっかりし、悩まずに家にいられるのでしょう」
 カナダでは州によっては5人以上集まることは禁止されており、教会堂で礼拝を捧げることは難しい。それでカナダ教会のほとんどは、早い段階からオンライン礼拝に切り替えているという。「カルガリー日系人福音教会では、youtubeで説教が配信されている。他の日系人教会は、Zoomやフェイスブックで配信されているビデオで礼拝していると聞いています。私個人としては、日本にいる知人や教会員とEメールで祈りの課題を分かち合って祈っています」
 カナダにいて教わったことは、自分の行動が周りを守り、助けることでもあるということだと話す。「みんなが相手のためを考え行動する。経済よりもいのちが大切だという考え方がベースにある。過酷な現場で働く医療関係者のため『Thank You!(ありがとう)』とエールを送っている。この状況をネガティブに受け止めず、マイナスと言えるような時期をプラスに考える傾向がある。不安でピリピリという雰囲気ではない。カナダにはクリスチャンが多いので、やはり底辺に十字架の愛、自己犠牲が流れているのかな、と思います」
 栗山さんと夫の豊さんは、東日本大震災にキリスト教支援団体のサマリタンズ・パース(SP)の働きに関わり、SPの要請でカナダの原住民伝道に従事してきた。カナダと日本を往復する生活で、日本にいる時は国内宣教師だ。「昨年、日本で台風被害にあった地域でボランティア活動し、カナダに戻ってからこういう事態になった。今は次の導きを祈り求めています」と語った。

写真=栗山豊、泉夫妻