現在4人のグループホーム入居者を含め、26歳から72歳の仲間たち39人がいます。この中には基礎疾患を抱えている仲間たちもいます。
入院した場合、何人かは普段の生活様式に慣れるのに時間がかかり、心の安定の保持から、入院することが難しいかもしれません。
自宅で待機と言われたとしても、親の方も年を重ねられ、亡くなられた方も増えました。もし止揚学園で感染が広がったとしても、ほとんどの仲間たちにとって帰る家は止揚学園です。この現実の中で止揚学園では感染対策に真剣に取り組んでいます。
手洗い、手指消毒、マスク着用、携帯電話消毒、職員の感染対策意識の徹底。二月から職員も外出を控えています。来園を希望される方々にはご遠慮していただいています。仲間たちの楽しみにしている季節の行事、外出も現在は控えています。
このような日々をおくるうちに仲間たちは急激な生活の変化に耐えることができるのだろうか、心に無理が生じていないかと心配になりました。
例えば食事です。止揚学園はみんな揃(そろ)って一緒にいただきます。お客様も一緒です。みんなでいただく食事は一人一人の笑顔の温かさが加味され食欲も増します。しかし今は感染対策から、できるだけ距離をあけ、時間差をもうけ、密にならないように食事をとっています。
私が心配していると、職員の染谷さんが、仲間の一人がつぶやいた次の言葉を教えてくれました。
「世界の人がなおるまで」
染谷さんはその一言を言い、「仲間たちは、世界の人たちが悲しみ苦しみの内にあることを知っています。、、、、

2020年5月10日号に掲載