人間には知恵が与えられ、火を使うことを覚え、道具を作り始めた結果、自然な暮らしから遠くかけ離れ、人間に便利な勝手な暮らしをしてきました。自然災害では他の生き物にはないほどの大きな被害を受け、感染症でも同様な現象が発生しています。人間は常に自然に対して無力であることを教えられてきました。しかしながら、人間は自然に謙虚にならず、ますます傲慢になったのです。

　現在、史上最悪の経済恐慌を経験しています。しかしながら、停滞する経済活動のおかげで、自然は蘇（よみがえ）って、澄んだ空気や水が戻ってきました。人間が引き起こす環境問題は人間問題と呼ぶべきで、多くの他の生き物には迷惑なことでしょう。

　１９１８年のスペイン風邪があまり参考にならないのには、次のような理由があります。

　①産業構造の変化＝１９１８年当時、農業や製造業が経済の中心でした。現在は、ＧＤＰの70％から80％がサービス産業であること。

　②交通や通信技術の進歩＝国際社会がより密接になり、行き来も頻繁になったこと。

　③社会構造の変化＝高齢者の増加、格差社会の問題が顕著になったこと。

　このような状況を踏まえ、２００７年以来、企業の性格を大きく変えたＢコーポレーションには大きな期待が集まるのは当然です。そこで、今回は混迷する世界経済を救い、経済再建の責任を担うＢコーポレーション、その中にあって、最優秀企業としてトップクラスに位置するバザニ・ビルディング・カンパニーに注目します。

期待集まるＢコーポレーション

　日本の抱える問題は、今回の感染症問題以前からサービス産業の生産性が低く、実際アメリカの50％しかないことです。理由はいろいろありますが、今回の経済低迷の原因は、ＧＤＰの70％から80％に相当するサービス産業と事務処理能力の欠如です。このような状況で、知的生産部門の生産性に注目している企業がバザニ・ビルディング・カンパニーです。

　戦後、製造業を中心に日本経済復興の奇跡に貢献したエドワード・デミングは、統計学を応用して品質改善に成功しました。戦前、日本製は劣悪品質と言われた悪評を変えました。今回、サービス産業や知的生産部門の生産性改善で、奇跡的な経済復興に貢献できるのがバザニです。基本的な考え方はデミング同様、組織の仕組の欠陥に着目し、徹底した改善を目指します。バザニは事務所設計の経験を生かし、すでに生産性改善に注目して、感染症予防も考慮したデザインソフトを開発しました。

　自宅待機命令や要請で、ホームオフィスが不可欠な現状の中、将来においても職種によっては会社出勤は非効率であり、ホームオフィスがより効率的であることが認識されるはずです。バザニは、これまで生産性の高いホームオフィスの設計とデザインの知識や技術を知的財産として蓄積してきました。アメリカには２００１年のテロ事件以後、安全面からホームオフィスが注目された歴史があります。

　アメリカでは感染者のみならず、失業の犠牲者にも格差社会の歪（ひず）みが見事に表面化しました。明治時代、渋沢栄一が日本経済発展の人的資源として女性の労働力を重視しましたが、アメリカでは現在、黒人やヒスパニックの人的資源が労働力として注目されるべきなのです。また、経済の80％以上がサービス産業ですから、当然ながら、事務所の職場環境が非常に重要となります。Ｂコーポレーションには、すでに「福祉からキャリア」の考え方で、ヒスパニック労働者の雇用に成功したカスケード・エンジニアリング社があります。

　働きやすい職場環境の考え方は、これまで発達障害者の雇用方法でも理解されてきているように、働く側の立場から働きやすい職場を考え、職場の多様性重視の姿勢が非常に重要とされます。Ｂコーポレーションの経営理念の基本は職場の多様性ですから、バザニにはこのようなニーズに対応する設計手法が準備されています。

　経済活動が正常に戻ると、次の心配は素晴らしい自然環境の維持です。現在、低迷する経済のおかげで二酸化炭素（ＣＯ2）排出量が６％削減されました。しかし、経済活動の再開で再び気候変動問題が問われます。すでにアメリカでは、ハリケーンの季節を前に大型ハリケーン多発可能性が予測されています。Ｂコーポレーションは気候変動問題を重視し、ＣＯ2の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になるカーボン・ニュートラルの達成を多くの企業に呼びかけています。言うまでもなく、バザニはアメリカ国内ではＢコーポレーションとして最初にカーボン・ニュートラリティーを達成しました。まさに企業のあるべき姿の模範を示しているのです。

　Ｂコーポレーションは、企業の利害関係者である労働者、地域社会、自然環境、消費者、株主を尊重し、すべての利害関係者に平等な配慮をし、社会や環境問題を企業の力で解決することで、より良い社会を築くことを目指しています。その模範的企業がバザニです。