新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた米国だが、白人警官による黒人暴行死事件によって、抗議デモが発生。それを制圧しようとするトランプ政権の間で激しい応酬が起こり、混迷の状況がある。コロナ禍の中で、黒人層の感染者の割合の高さや雇用問題などが指摘されており、従来の人種差別問題も受けて、市民の抗議活動が広がった。キリスト教会でも様々な反応があるが、声を上げる人々も増えているようだ。

米国ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドが白人男性警察官に暴行を受け死亡した。暴行の映像がネットなどに拡散されると、全米各地で抗議デモが広がった。

抗議デモでは、一部の過激派により破壊行為が繰り広げられている。5月31日夜には、歴代大統領ともゆかりのあるホワイトハウスそばの米国聖公会・聖ヨハネ教会で、抗議者らによる放火が発生。6月1日、ドナルド・トランプ大統領は同教会前に立ち、聖書を掲げた。これに対して、同教会が所属する教区主教のマリアン・ブドゥ牧師は「憤慨した」と言及。CNNやAP通信などが伝えた。「ここが聖なる目的のための聖なる空間であるという意識が無い」とトランプ氏を批判。平和的な抗議者たちを擁護した上で、「教会の被害も軽微だった」と述べ、「教会は再建できるが、一人の人間の命は取り戻せない」と語った。

米国聖公会首座主教のマイケル・カリー氏は1日に声明を発表。「教会の建物と聖書を党派的な政治目的に利用した」と指摘し、「全米が深い痛みの中にあるときに、この行動は何の助けにも癒しにもならない」と批判した。「神は愛であり、隣人を愛すべきである」と述べ、「大統領が持っていた聖書、そして彼の背後にあった教会は、愛と正義と憐れみの価値、癒しへの道を示している。私たちの大統領と公職者たちには、これらの価値に立った、より道徳的な指導者であることを求める」と語った。

CNN https://edition.cnn.com/2020/06/01/politics/cnntv-bishop-trump-photo-op/index.html

AP通信 https://apnews.com/09f54acd0aadf861ea3aadc5b79c0fd8

米国聖公会首座主教声明 https://episcopalchurch.org/posts/publicaffairs/statement-presiding-bishop-michael-b-curry-president-donald-trumps-use-church