書店】本を販売する小売店

【本屋】本を売る人たち

 「読者にとっては本屋よりも本の中身が重要で、流通の問題は意識しないだろうと思う」と渡部満さん(教文館社長)。「全体の部数は減っているが、出版点数、本の種類は減っていない。今はたくさんの種類の本に出会える時代と言える。ただ、みなが共通して読む本は少なくなっている。業界では取次があらかじめ決めて各書店に配本する『パターン配本』が主流。これを変えようという動きがある。返品の問題もある。書店がほしい本がほしい分、手に入って売れる状態にするように、事前注文の方に移行しようという取り組みもある。ネット書店では売れない本は置かない。アマゾンにない本もたくさん存在しているんです」

「キリスト教書店は利益を基準にしては続けられない働き。問題は読者が減っていること。高齢化、若者の読書離れなどもあり、雑誌も本も読まれない」と指摘。「伝道が振るわないことが大問題。本屋の存続のためではなくまず信仰の教育、伝道のために本が必要かどうかを考えないといけない。これは本屋だけで考えてもしょうがない。みなで考えていきたい。伝道はやはり言葉。言葉抜きで信仰は生まれない。それは聖書の本質的なこと。これをきちんととらえていけば、本の必要性、本屋の必要性が出てくると思います」

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「文字離れ」「宗教離れ」は違う

吉國さん

 教文館キリスト教書部店長の吉國選也さんは教文館のネットショップの立ち上げを担当したが、「基本的に私も本屋。紙で書かれたものの力を信じている」と言う。「オーディオ、映像のコンテンツの普及には大賛成だがキリスト教は、そもそも信仰と文章が切り離せない。文字で書かれた聖書、聖句に出合う経験が信仰の核にあると思う。教会は聖書の原典に当たり、どう日本語で訳されているかを確認し、注解で学ぶという文化を土台としています」。吉國さん自身、ヘブル語、ギリシア語を学び聖書を原典で読むことに親しんできた。「キリスト教書店に来るのは、信者やキリスト教に何かを求めている人たち。お客さんの目的がはっきりしているので、それに応えるものを提供しなくてはいけない。お客さんの枠を広げるためにネット書店、ネット宣伝など、いろいろなツールを使うが、最終的には文字で書かれた言葉に触れる経験をしてほしい」と願う。、、、、、

2020年6月14日号掲載記事