6月14日号紙面:【連載】「社会」を超える「想像力」 公共、芸術を考える 「不自由」とコモンズ(共有地[知])への応答⑧
写真①
米国黒人暴行死事件(1面参照)でも発言が注目されたコーネル・ウェスト氏は「民主主義を支持する運動が弱体化すれば−そして、市民や労働者がもっと弱くなれば−人種問題が爆発するだろう」(『人種の問題 アメリカ民主主義の危機と再生』山下慶親訳、新教出版社、2008、写真①)と予言していた。民主主義を強調するウェスト氏だが、「キリスト教徒としての信念のほうがさらにずっと深い人間として、発言している。民主主義は私の信仰ではない」(『民主主義の問題:帝国主義との闘いに勝つこと』法政大学出版局、2014)と述べる。
『公共圏に挑戦する宗教—ポスト世俗化時代における共棲のために』(箱田徹、金城美幸訳、岩波書店、2014、写真②)では、様々な哲学者との討論の中で、ウェスト氏は宗教者の立場で発言した。
「公共圏」を広めた政治哲学者ユルゲン・ハバーマス氏は、「宗教的市民と非宗教的市民がともに理性を公共的に使用することで、多元主義型社会の熟議政治が活発になる」、「宗教的発言を公共の場から排除してはならない」と述べた。ただし宗教的発言は世俗的な語彙と「誰にでもわかる言葉」に言い換えられる必要があり、公共的理性を用いることが重要になる。、、、、、