ブラジルは6月17日現在、感染者数955,377人、死亡者数46,510人。24時間以内の死亡者数が1,269人となった。ブラジルの感染状況とブラジル日系人教会の現状について、宮島熱示氏(ブラジル長老教会ペーニャ教会協力牧師)のレポートを届ける。

当初は対岸の火事だと思って楽観視していたブラジル国民も、日ごとに感染者、死亡者が増え、気が付けば世界で3番目に犠牲者が多い国となりました。そして自宅待機や各地でロックダウン(都市封鎖)という規制が敷かれ、知人、友人の間で犠牲者が出たことによって深刻であることを認識、皆がマスクを着け、アルコール消毒をこまめに行うようになりました。

ある市立病院の現状。廊下で病室の空きを待つ患者と付き添い(写真提供=宮島熱示)

すでにカーニバルの時期(2月下旬)に感染者が出ていたのですが、まったく話題にならず、後日公式に発表された感染者第1号はイタリアからの帰国者で、最初に感染が発覚したのもアラブ系、ユダヤ系の富裕層の私立病院でした。感染経路は中流階級から始まり、次に高齢者に広がり、院内感染でさらに医療従事者、看護師、そこから下層階級に拡大し、貧民街のファベーラで蔓延し始めました。ファベーラの人々はもともと衛生観念が乏しく、狭い部屋に多人数の家族が住んでいるので、現在恐ろしい速さで感染が拡大しています。
ブラジルは3月15日以降、複数人数で集まって礼拝・集会することが禁止になり、それぞれの教会が急きょ今後の対応に追われました。しかし、キリスト教会全般において、以前からインターネットで礼拝を配信していた教会は、コロナ禍によって、さらにそのツールを充実させ、用いているようです。
ルージラモス・アライアンス教会では、礼拝の前日にオンライン担当者が各礼拝奉仕者に事前に指示を与え、日曜礼拝はライブで行っています。教会員は携帯電話あるいはパソコンで参加しています。礼拝自体はポルトガル語なのですが、日語部の皆さんも共に参加して、礼拝後、内容を日本語に訳したものをSNS経由で配布。平日にはビデオ会議で祈り会、牧師会も行っています。このように以前からの教会活動をできるだけ崩すことなく続けています。現在、アシュラム修養会をオンラインで行うことを模索・検討しています。
日系ルーテル教会では、平日幾人かのスタッフが教会堂で教会暦に準じた礼拝を日語通訳付きで収録し、日曜日の礼拝の直前にSNSにリンクが送られ、教会員はそれぞれ携帯電話かパソコンで参加しています。

5月24日のオンラインでの「わが心燃えたり記念礼拝」。ブラジル自由メソジスト日系年会が国内および海外の地域教会と連携し、1738年5月24日アルダースゲート街でのジョン・ウェスレーの回心体験を記念して開かれた

リベルダーデ・ホーリネス教会では、オンラインのライブ礼拝が、賛美、証し、説教(日本語の通訳付き)という、ほとんど既存の礼拝スタイルでなされ、約1時間半の礼拝の後に、さらに約1時間ビデオ会議を開催し、登録している教会員であれば誰でも参加できる交わり会を行なっています。そのほかに日曜学校もそれぞれの分級でSNSのグループがあり、ビデオ会議で分級に参加できるようにしています。日本語による説教は、日本語部の牧師がメッセージを交替で録画して、それが時々SNS経由でリンクが送られてくるということです。聖餐式主日は、それぞれが自宅でパンとブドウ液を用意して、月に一回、オンライン礼拝の聖餐式に参加して聖餐を受けています。
自由メソジスト・ソロカバ教会では、教団の日語牧師らに交替で説教をお願いし、賛美担当者が歌詞、伴奏、歌声の素材を準備して、現地の教会で編集、スタッフ全員で最終チェックをしてから、前日までにSNSにアップロード、礼拝時間になると開くようにしています。参加者全員が賛美を歌えるように配慮するなど、礼拝の要素を大切にしているということです。
ブラジルのコロナ禍の状況から推察されることは、オンライン礼拝、祈祷会は今後も継続されるということです。自宅待機が解除されても予防接種が受けられるようになるまで、他人と距離を保つこと、多人数で集まることは、かなり慎重にならなければいけないからです。