【沖縄だより】『んみゃーちちゃーち』でキリストを発信 宮古島 教会合同の情報誌発行

沖縄県宮古島市には、超教派の七つのキリスト教会が2018年12月から合同で発行している『んみゃーちちゃーち』という情報誌がある。千500部発行。5月に第5号を発行した。『んみゃーちちゃーち』とは宮古島の方言で「教会へようこそ」の意。同誌は各教会に配られて地元教会の情報や教会交流に一役買い、メッセージのほか、信徒や牧師や神学生らの証しも掲載し、伝道ツールとしても用いられている。
巻頭言は各教会の教職者が持ち回りで担当する。今回は編集者でもある日本基督教団宮古島伝道所の坂口聖子牧師。「恐れる心をどうするか」と題して、イザヤ41章9、10節から、コロナ禍をはじめ不安を抱える人々に「共に助け合い、互いに励ましの声を掛けつつ、その真っただ中に神さまは共にいてくださいます。ここに希望があります」と励ましている。
坂口牧師は「教会やクリスチャンの交流はもちろん、大きな目的は宮古島の伝道のためのものです。クリスチャンの手から誰かの心に届けられて、その人に七つの教会のどこかに行こうと思ってもらえたらと願って作っています」と語る。
七つの教会は、日本基督教団宮古島伝道所、沖縄バプテスト連盟宮古バプテスト教会、聖公会宮古聖ヤコブ教会、単立・白い家フェローシップチャーチ宮古島チャペル、カトリック宮古島平良教会、平良キリストの教会、宮古べテル教会。編集会議は毎月の牧師会で行っている。各教職者が情報とアイデアを出し合って内容を決める。若い人にも手に取ってもらえるよう、おしゃれなデザイン、文字や写真は大きくするなど工夫している。市内はもちろん市外の教会にも好評で、宮古島の教会が教派を超えて伝道している姿を証しするものにもなっている。
この牧師会の母体は今も月1回開かれる宮古朝祷会。祈り合う中で教会間の交流が広がり、現在の働きにつながった。
「違いを見つけたら何もできません。人口5万5千人の小さな宮古島の伝道を考えるとき、イエス様は一つ、というところでつながっていくことは大きな意義があります」
年に数回開く「キリスト教講座」も大きな働きの一つだ。持ち回りで、それぞれの教会の特色を生かした講演会を開催、信徒らが参加して聖書を学ぶ。この時の自由献金は情報誌の資金源になる。
「平和問題はキリスト者としてきちんと見ていかなければいけない」との思いを共有し、宮古キリスト者平和ネットワークにも各教会有志が集う。バプテスト、聖公会、日本基督教団が主体となって、宮古島の自衛隊ミサイル基地に反対する運動を続けている。「誰かを殺すための道具はこの島には必要ない」と。
昨年のクリスマスには信徒や市民約50人が集まり、基地の弾薬庫の前で賛美して祈った。
坂口牧師は「小さい島の問題は、声を上げなければ、声はないものとされてしまいます」と、見過ごされがちな小さい島々が抱える問題に目を向ける。「マタイ25章40節のように、小さなところに視点を置いてこれからも声を上げ続けていきたい。宮古島の教会がキリストを中心に希望を持ってつながることで大きなことができる。苦しい状況でも希望を失わず輝いているクリスチャンを人が見たとき、そこにキリストが見えると思います」

 

第5号

第5号