【連載】閉ざされても新しい扉が開く 本屋の存在意義13 ▽静岡聖文舎▽京都ヨルダン社

静岡県静岡市、駿府城の西側は、美術館、博物館、キリスト教学校、教会が集まっている。この一角に静岡聖文舎がある。店長の増田直秀さんは「昨年、一昨年、特に教職が学ぶ本で売れる本が少ない」という率直な印象を語った。「信徒向けの本はそこそこあった。営業も頑張らないといけないが、不況の上にコロナ禍はますますしんどい状況です」
店舗販売は2割、外回り営業が8割。静岡、山梨、長野の各県を月一回のペースで回る。「店員は二人。年齢が上がっており、後継者問題が前々からあった。しかし店の維持だけで精いっぱい」。
若い世代はネットを使うからか、あまり本を買わない印象だという。「東京で売れても静岡で売れない。静岡で売れても東京では売れない。地方差はある、、、、、、、

2020年8月2日号掲載記事

静岡聖文舎
増田さんおすすめの書籍

  

「信仰生活ガイド」シリーズ全5巻が日本キリスト教団出版局から出版中で『主の祈り』(林牧人著)、『十戒』(吉岡光人著)、『使徒信条』(古賀博著)が刊行済み。『洗礼を受けるあなたに:キリスト教について知ってほしいこと』(越川弘英、増田琴、小友聡、柳下明子著、山本光一共著、日本キリスト教団出版局)も基本的な内容で信徒の学び向けとして期待している。
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京都中心部の鴨川のそばにある京都ヨルダン社。周囲は庭園や寺社が多い中、キリスト教系の学校も複数ある。同店の販売の大きな割合を占めるのはキリスト教系の学校、幼稚園、保育園だ。店長の田代伸一さん「コロナ禍で出張販売ができない。入学式などで、納品だけでなく、販売もしていたが、出席者も縮小し、販売もなくなりました」。教科書、聖書の販売は、6月以降に実施し、「請求も先延ばしになった。キリスト教書店は3、4月とクリスマスが山。それながくなるときつい。春がなくなると一年に響く。そんな中で、本の入れ替え、取次からの請求もある。家賃、光熱費、リースのコピー機、車関係など、出費は待ったなしです、、、、、、、

2020年8月2日号掲載記事

京都ヨルダン社
田代さんおすすめの書籍

『今日のパン、明日の糧』(ヘンリ・ナウエン著、日本キリスト教団出版局)は毎日少しずつ読め心に響く。安心して勧められる。一時品切れしていたが、また出てうれしい。『神の祝福をあなたに。歌舞伎町の裏からゴッドブレス!』(日本キリスト教団出版局)の関野和寛先生が教文館で実施した講演とコンサートが新鮮だった。「派手にするな」と言われることもあるというが、こういう先生がいるのは頼もしい。どんどんやってほしい。京都ゆかり関係者が多い榎本てるこ先生の『愛の余韻 榎本てる子 命の仕事』(青木理恵子編、いのちのことば社)。父は『ちいろば先生物語』(三浦綾子著)の保郎先生。てる子さん自身がユニークで、様々な人を大切にし、葬式にも性的マイノリティーの方など幅広い方が集った。(つづく)