長崎 平和の同心円をいかに広げるか     司祭マルコ柴本孝夫(長崎キリスト教協議会運営委員長)

昨年11月、ローマ・カトリック教会フランシスコ教皇が来日。わずか四日間のスケジュール内容を見て驚きました。東京から二つの被爆地を訪問。被爆者と共に祈り、次いで青年たちとの対話、東日本大磯災被災者たちとの交わりなど…。教会関係に留まることなく、この日本社会の中で、今最も優先して訪ねるべき人々、場所を的確に選び取り、一時も無駄にすることなく、しかも終始笑顔で巡られました。
その冒頭長崎に来られ、いくつもの大切な言葉を語られました。中でも心に留まったのは爆心地公園でのメッセージ。「今、(世界の中で)、拡大しつつある、相互不信の流れを壊さなくてはなりません」「カトリック教会としては、人々と国家間の平和の実現に向けて不退転の決意を固めています」。この「不退転の決意」という表現に圧倒されました。しかしこれからきっと大きく揺さぶられていく、教派や宗派などの違いを乗り越え、私も共に取り組みたいと強く感じさせられました。
戦後75年を迎え、戦争の体験者また被爆者も年々地上から天上へと居を移され、それに伴い、この被爆地長崎においても、戦争や被爆の記憶また平和を創り出そうとする意識が確実に薄らいでいると感じます。、、、、、

2020年8月9日号掲載記事