9月20日号紙面:一緒に「聴くドラマ聖書」 みんなで聴いて分かち合い
一緒に「聴くドラマ聖書」 食事のようにバランスよく定期的に 信仰書をみんなで聴いて分かち合い コロナ禍でもオンライン開催が可能
「一般社団法人日本G&М文化財団」(以下G&M、文俸柱〔ムン・ボンジュ〕代表理事)が昨年11月に公式リリースした、スマホのアプリで聴ける「聴くドラマ聖書」。旧新約聖書66巻に起用されたキャストが総勢150人、総配役数千300以上と話題を呼び、しかも完全無料で聴ける同アプリは、総ダウンロード数が8月31日現在9万を超えた。リリースから約10か月、G&Мは「聖書の朗読と勧めと教えに専念しなさい」(Ⅰテモテ4・13)を柱に、「みんなで聴く会」として「PRSバイブルクラブ」、「JSUブッククラブ」をスタートさせた。「数人で集まって聖書や信仰書を聴く会を、ぜひ始めてみませんか」とG&Мは呼びかけている。
「聴くドラマ聖書」は、プロの俳優や声優が情感を込めて語る聖書朗読なので、「どんどん引き込まれていく」、「目と耳からスーッと入ってくるので聖書通読が楽にできる」など、好評を博している。だが、その多くは個人利用によるもので、教会の学び会やクリスチャンのコミュニティーなどでの利用はまだまだこれからだ。それで、新たに始まったのが「みんなで聴く会」の二つのクラブだ。
「PRSバイブルクラブ」のPRSとは、「パブリック・リーディング・オブ・スクリプチャー」の略。聖書からの言葉をじっくりと聴き、互いに成長するためのコミュニティーで、①定期的に、②集まって、③じっくり聴く、というのがコンセプトだ。御言葉を聴くことに集中するため、基本的に分かち合いはない。
G&М代表理事の文氏は「PRSバイブルクラブ」を始めた理由について、こう語る。
「かつて、聖書は一緒に聴くものだった。モーセはシナイ山で、イスラエルの民の前で神様から授かった律法の書を読み上げた。国が失われ捕囚から戻ってきた時も、城壁再建後、エズラが城壁の前で律法の書(聖書)を読み上げ、イスラエルの民はみな泣いた。イエスは安息日に会堂に入り、巻物を取ってイザヤ書を読み上げた」
「初代教会の時代には、パウロが送った書簡を教会の長老がみんなの前で読み上げた。その手紙をまた他の教会に回して、長老がみんなの前で読み上げた。そしてみんなで聴いて恵まれた。このように一緒に聴く習慣がありました」
文氏はこれを食事に例える。「食事はどんな人でも毎日欠かさずするもの。『御言葉はパン』と言われているように、聖書も毎日の食事のように繰り返し、バランスよく、定期的に聴く。しかも、一人よりみんなで聴くともっと聖書を味わえる。初代教会のクリスチャンたちは、このようにしてみんなで成長していった。これはまさに、古くて新しい方法だ。『このアプリはすばらしい』と良い評判を得ているけれども、目的は評判ではなく主のことばを直接聴いてもらうこと。そのために、『聖書をみんなで一緒に聴きましょう』とキャンペーンしているのです」
G&Mでは、20分、30分、45分と3つのリスニングプランを設けている。それぞれ旧約と新約がバランスよく構成され、30分、45分プランでは詩篇が祈りとして最初と最後に組み込まれている(リスニングプラン全体は以下のウェブサイトを参照)。
このPRSバイブルクラブを、G&Мが毎週木曜日お昼時にオンラインでサンプル版として開催していると聞いたので、参加してみた。
その日の聖書個所は出エジプト記27~29章とマルコの福音書16章。そして詩篇79、80篇だった。担当者による本日の個所の簡単な解説の後に朗読が始まる。特に出エジプト記は幕屋の作り方の個所で、黙読では読み飛ばしたくなるような難解な個所だ。
だが、朗読だと寸法や装束の名前、色などがスーッと入って来て、幕屋の輪郭がおぼろげに浮かんでくる。そして、「幕屋ってどんなものなのだろう」と、後で調べてみたくなる。
お昼時の約50分間、みんなで同じ個所を一緒に聴いているという一体感を、オンラインでも味わえ、とても豊かな時間を過ごすことができた。
† † †
もう一つは「JSUブッククラブ」。JSUは「ジャスト・ショー・アップ(ただ来るだけ)」の略。約30~45分間、「聴くドラマ聖書」に加えて新たに制作された信仰書籍などのオーディオブックを聴き、20~30分ほど分かち合い、リーダーがまとめて終了する。何の準備もせず、ただ集まって聴いて分かち合うだけなので、気軽に始められるのが魅力だ。
これまでオーディオブックとしてリリースしたのは、『「放蕩」する神』『偽りの神々』(ティモシー・ケラー著、廣橋麻子訳、いのちのことば社)、『クリスチャンであるとは』(N・T・ライト著、上沼昌雄訳、あめんどう)、『信仰入門』(ジョン・ストット著、有賀寿訳、いのちのことば社)など。
「すでに始まっているグループではとても評判がいい」という。「忙しい中、自分一人で一冊読み切るのは難しい。でもみんなで集まって、定期的にだいたい1章ずつ読むので、最後まで読むことができる。また分かち合いを通してさらに恵まれ、励まされる。ティモシー・ケラーやN・T・ライトの著書を通じて信仰生活が建て上げられていくのが特徴です」
こちらも、G&Mが毎週金曜日お昼時にオンラインで行っていると聞き、参加してみた。テキストは『信仰入門』の第2章「キリスト自身の主張」のところだった。朗読が終わった後の分かち合いでは、「イエス様が『自分は神である』とここまで主張しているとは。今まで意識することがなかった」、「もし私がそこにいたとしたら、『私はメシアである』と発言するイエス様に対し、本に書かれていたように『何をぬけぬけと』と、律法学者と同じように感じたと思う」など、それぞれが聴いた感想を次々に分かち合い、盛り上がっていた。
G&Mでは、熊本地震の被災者の声に応えて、三浦綾子の小説『夕あり朝あり』(新潮文庫)をオーディオブック化した。さらに話題の書籍を続々オーディオブック化していく予定だ。また、文氏は「クリスチャンでない人にも興味を持ってもらえるように、ビジネス本などもオーディオ化します」と話す。
† † †
「この二つは、クリスチャンの信仰生活を成長させるためのツール。聖書そのものを聴く、信仰書のメッセージを聴くことの両方で補い合える」と文氏。「PRSバイブルクラブ、JSUブッククラブを始めてみたいという人はぜひメンバーを集めてホームページから申し込んでほしい」と勧める。
G&Mは現在、スマートフォンだけでなく、PCでも使える「聴くドラマ聖書」を制作中で、今秋リリースを予定している。オンラインの会で画面や音声共有しやすいのが魅力で、要望の声も多かったそうだ。
「みんなで聴く会」の詳細について知りたい人、クラブを始めたい人並びに「みんなで聖書 PRSバイブルクラブ木曜日」、「みんなで本 JSUブッククラブ」参加の申し込みなどは、URL https://graceandmercy.or.jp/community/を参照。