10月18日号紙面:JEA宣教フォーラム2020 「コロナウイルス禍での教会~宣教の課題と可能性」主題講演
JEA宣教フォーラム2020 「コロナウイルス禍での教会~宣教の課題と可能性」テーマに中西氏 信仰、宣教方法見直す機会に 会堂での礼拝は強い人中心だったのでは…
日本福音同盟(JEA)宣教委員会主催による「JEA宣教フォーラム2020」が9月29、30日、オンラインZoomミーティングにより開催された。テーマは「コロナ禍で、宣教について考える」。30日午前中の主題講演1では「『コロナウィルス禍での教会〜宣教の課題と可能性〜』〜コロナウイルス禍の未来の事をみんなで楽しく話そう!〜」と題して中西雅裕氏(ホーリネス・横浜教会牧師)が講演し、パネリストの三浦春壽(JECA・キリスト教朝顔教会主任牧師)、吉川直美(シオンの群教会主任牧師)、岩上敬人(JEA総主事)の三氏が応答。参加者からの質疑応答の時もあった。【中田 朗】
中西氏は「すべての教会活動が休止を余儀なくされたことを、強制終了ではなく、神がリセットボタンを押されたと受け止めたい。集会・活動、教会観、私たちの信仰、宣教方法を見直す機会としたい」とし、「もう以前には戻れないし、単純に戻ろうとしてはならない。神様は何を変えようとされているのか。見るべきものを見る、考える、主の御声を聴く、そして悔い改めるべきことは悔い改める」ことを強調。コロナ禍における横浜教会の対応や様子から、「教会員の信仰が振るわれていると感じている」「高齢化の加速」「若者たちの礼拝離れ」などの懸念や「教会員や求道者と直接の関わりが持てない分、一人一人のために祈る時間は多くなった」と語った。
インターネット礼拝についても言及。「インターネットなどを使って各家庭で捧げる礼拝は、今まで教会に来ていなかった家庭を巻き込んで御前に出るきっかけとなった」「しばらく礼拝から遠ざかっていた家族が、今は一緒に参加している」などのケースがあるとし、「インターネット礼拝は、もっと多くの人が礼拝を捧げる可能性を開いている。今までの会堂で捧げる礼拝は、ある意味で強い人中心の礼拝であったのではないか」と指摘。一方、「横浜教会は午前9時台の第一礼拝を収録し、11時台の第二礼拝の時間に配信しているが、視聴者数を調べてみると必ずしも聖日の午前中に見ているわけではなかった。見たい時間に見、自分の都合のよい時に合わせて捧げる礼拝でよいのか」と懸念も。今後の可能性として、「会堂中心から小グループ中心、家の教会への移行が進むのではないか。デジタル・ネイティブ世代が私たちの想像もしなかった新しいやり方で今後の教会を担っていくだろう」と予測した。
最後に「この事態が収束した後、何が残り、どのように好転しているか、主の御業に期待したい」と結んだ。
主題講演を受け、三浦氏は「聖書の〝疫病〟の個所を見ると、神様の裁きとしての疫病が記されている。教会が『悔い改めるべきことを悔い改める』ことについて真摯に考え受け止める必要があると思う。もう一つは『源泉に立ち帰ろう』ということ。商業主義的な宣教ではなく、聖書にもう一度立ち返りながら、主の御心を求めることが必要ではないかと示されている」と語った。
吉川氏は「聖餐式や賛美や愛餐など、教会において神と人に愛を示す行為は、実は死のリスクを共にするということであったのだと思わされている。デジタル化が進んでも、教会はアナログな従来の形を大事にしてきたが、愛を示す手段が制限される中で、神への愛、互いの愛をどうつないでいくのかが問われているように思う」と語った。
岩上氏は「コロナが収束に向かうと元の礼拝形式に戻ろうという流れが出てくるだろうが、しばらくは元の礼拝に戻ることはできない。人と人とが集まることとデジタル配信の二つのハイブリッド化が、今後の教会の営みの主流になっていくのではないか。デジタル世代の伝道の強化も大だ。デジタルが当たり前な世代にどう福音を伝えていくのか。ユーチューバ―牧師が活発に伝道する時代が来るのではないか。半面、オンライン伝道が乱立することによって、教会が混乱したり、教会の枠組みが崩れてしまう危険性とも隣り合わせだ。それに伴った倫理、オンラインにおける教会理解が神学的にも整理されていく必要がある」と語った。
参加者からは、「これまでは強い人たち中心の礼拝であった、との視点は大切だと思う。この点についてパネリストに聞きたい」との質問があった。三浦氏は「『強い人』の言葉の背後に、人をどう考えてきたがという問いがある。人を宣教のターゲットとしてのみ見て来なかったか? その意味で、神に創造された人を一人の人格として大切にする文化を丁寧に育てていきたい」、吉川氏は「オンライン礼拝は、会堂に来ることにハードルが高い人たちの受け皿になっていくのでは」と答えた。
講演では、レジュメにはあったが時間の関係で触れられなかった「クリスチャンとしての生き方・社会への働きかけ」について聞きたいとの質問も。中西氏は「私たち信仰者は、①人々に慰めを与える、②応えられることを信じてとりなしの祈りを捧げる、③行動を通して人々に神様の愛を示す、存在である」とし、「この社会は私たちの存在を必要としている。人々に慰めを与え、祈り、愛を示していこう」と語りかけた。
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その他、主題講演2では「JCE7に期待されるもの」と題して小平牧生氏(兄弟団・西宮教会牧師)が講演し、羽鳥頼和(JECA・自由ヶ丘キリスト教会牧師)、畑中洋人(同盟基督・石神井福音教会牧師)、大嶋重徳(鳩ヶ谷福音自由教会牧師)の三氏が応答。分科会は「宣教研究部門」「異文化宣教ネットワーク」「新型コロナウイルスと教会の社会的責任」「教会と『国家』:『コロナ禍と信教の自由』」「痛みを担い合う教会:『東日本大震災からコロナ時代へ~骨太の福音に生きる教会を目指して』」など、20が開かれた。(主題講演2、分科会の一部は次号以降で)