内部被ばくの危険性に言及 阪神宗教者の会で元原発技師講演

今野氏

東北電力女川原発(宮城県)の再稼働、および東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出が進められつつある10月23日、兵庫県西宮市で「阪神宗教者の会」定例会が開かれ、元原発エンジニアで「子ども脱被ばく裁判」の原告団長の今野寿美雄さんが、内部被ばくの危険性や、実害が懸念される汚染水の放出について講演した。同会の世話人代表で神戸国際キリスト教会の岩村義雄牧師がレポートする。
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今野氏は「フクシマ内部被ばくと女川原発」について語った。出席した学者、宗教者、学生らは、女川原発2号機再稼働に危機感を抱いた。なぜならトイレのないマンションを造るようなものだからである。地元の町議会、石巻市市議会、首長たちが賛成するのは子々孫々に対して無責任すぎる印象がある。「公共事業」を推進する財・官・学の利権構造に屈したとしか思えない。
今野氏は「『汚染』と『被ばく』は異なる。『汚染』は放射性物質が皮膚や衣服に付いたりすること、一方『被ばく』は“放射能を受けること”だ」と、原発の危険性を訴えた。
「外部被ばく」と「内部被ばく」は異なる、と強調。これまで医学者、科学者が「内部被ばく」と「小児甲状腺ガン」の因果関係を証明できなかった。外部被ばくだと、80~90日で体外に放射性物質が汗や尿によって出る。しかし「内部被ばく」の場合、α線やβ線がいったん食物、水、空気などによって体内に取りこまれると、水に溶けないので体外に出ずに各臓器の組織に住みついてしまう。厚労省や福島医大の御用学者が言うように,尿や汗では排出されない。
出席した大阪大学人間科学研究科共生社会論稲場研究室の佐々木美和さんはセミナー後、「『ホット・パーティクル(不溶性微粒子)』が小児性甲状ガンなどの因果関係と結びつく科学的証明にこぎつけたことは画期的だ」と語った。水俣病やアスベストのように、半世紀近くも被害に対する補償が遅れることがあってはならない。海水の希釈能力を過信し、チッソ工場から排水し、水俣病が広がった過去がある。放射能の「汚染水」を海に放流することは問題だ。
憲法の25条の第1項に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳(うた)われているように、みんなが健康で文化的な生活を享受できるように祈りたい。