断食祈祷聖会(同実行委員会主催=高木康俊実行委員長)は16日午後、「原発」をテーマに、各地の原発設置に関わる仕事をしてきた関口猛氏(日基教団・横浜岡村教会員)が、その経験を話した。
 運輸会社で重量物の輸送、組み立て、据え付けを行う部署で働いていた関口氏は、原子炉圧力容器のつり上げ装置を組み立て、本体を搬入する工事などを担当、福島第二原発の建設などに携わった。そこで経験したのは、一つの工程が進むたびにメーカー、電力会社、通産省の検査を受け、非常に厳しい管理に対応しなければならない現場だった。
 「当時はなぜ、こんなにうるさいのかと思うほどで、だから絶対に安全、安心なんだという気持ちになり、それが働く誇りにもなっていた」という。しかし今回の原発事故を経て、「原発事故は、聖書のバベルの塔のような人間のおごりだと思うようになりました。メルトダウンなどあるはずがないと思っていた。まさか、そんなバカなことはないはずだと思い込んでいたのです」。現場の技術者たちの慣れとおごりが大きかったと感じている。
 関口氏の話を受けて、①汚染水の処理や廃炉に向かう今後の対処が導かれるように、②日本がどのように原子力に向き合っていくのか、③原子力に関わる働きに携わる人々、中でも危険が伴う作業にあたっている人々のために、④福島の人々が早く元の生活をすることができるように、⑤現地の諸教会が支えられ、良き証しを立てることができるように、⑥特に子どもたちが放射能の影響から守られるように、などの祈祷課題を挙げ、集まった50人ほどで祈りをささげた。(根田祥一)