精神障がい者が作るオリジナルゴスペルCD 「希望の灯り」制作プロジェクト始動

精神障がい者たちで結成されたゴスペルクワイアによるオリジナルCD「希望の灯り」制作のプロジェクトが、今夏のリリースに向け動き出した。
このプロジェクトを主導するのはJAYE公山氏。日本の音楽シーンに多大な足跡を残してきたシンガーであり、日本におけるブラックゴスペルの草分け的存在である。毎年夏の「なにわゴスペルフェスティバル」を主催するほか、各地で歌唱を指導するなど、日本のゴスペル界の中心人物として長年にわたって活動している。自らのゴスペルクワイアを基盤に2002年1月に設立したNPO法人では、特に精神の痛みを持つ人たちをゴスペルミュージックを通じて支援する活動を定期的に続けてきた。

ケロちゃんずのメンバーも参加した2019年8月の「なにわゴスペルフェスティバル」。センター右がJAYE氏、左がKuwamura氏

今回のプロジェクトは、その訪問先の一つである社会福祉法人みつわ会(大阪府寝屋川市)に集う精神障がい者たちで結成されたゴスペルクワイア「ケロちゃんず」のメンバーが書いた詩に曲をつけ、CDを制作するというもの。JAYE氏とともに作曲を担当するKaz Kuwamura氏は、JAYE氏に師事し共に活動を続けてきた気鋭のソングライターで、最近では映画やドラマの主題歌の作曲、有名アイドルグループへの楽曲提供など、活躍の場を広げている。
JAYE氏はこう語る。

─それはケロちゃんずメンバーから出てきた「詩」がきっかけでした。誰しも心に痛みを持っています。時としてそれは「うつ」となり、自宅を出れない「引きこもり」になることもあります。その暗闇を打ち破ろうとする力が詩の中にあったのです。その命を燃やす詩と歌によって、人々の心に「希望の灯り」が灯るでしょう。
私たちのNPO法人は、音楽とコミュニケーションによる精神障がい者の「心の支えと癒やし」をテーマに活動を続けてきました。それは私たちが生きる現代社会において、精神的ストレスやさまざまな問題で、生きる希望を持てない人が、ますます増加する傾向にあるからです。その結果、多くの人がうつ病などの精神疾患を発症しています。また病によっていったん引きこもりになると、誰とも関わる機会がなくなり、社会性が失われていきます。
このCDは、われわれ法人メンバーと精神障がい者が共に歌い、一つのものを作り上げていきます。そして「自分は一人で生きているんじゃないんだ」というメッセージを込めることにより、多くの精神疾患に悩む人たちの孤独感や絶望からの解放に制作の意義を見出しています。また精神障がい当事者メンバーが作詞、歌唱し、楽曲制作というクリエイティブな営みに関わるという点においても、意義深いと言えます。─
CDの製作費用はクラウドファウンデイングで調達され、限定500枚を希望者に無料で発送(送料別途)、その上で寄付金を募るという。問い合わせ・発送依頼はNPO法人ジェイズマスクワイア(Qjaye0708@gol.com)まで。クラウドファウンデイングの詳細はURL https://camp-fire.jp/projects/view/384473 に掲載されている。