3月7日号紙面:【関西だより】カード詐欺被害 牧師が防ぐ 教会コミュニティーが防犯に一役
【関西だより】カード詐欺被害 牧師が防ぐ 教会コミュニティーが防犯に一役
高齢の教会員がカード詐欺に遭いそうになったのを牧師が察知し、寸前で食い止めた。お手柄だったのは、日本イエス・キリスト教団明野キリスト教会牧師の大頭眞一氏。
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きっかけは2月8日、大頭氏の携帯にかかってきた高齢の教会員からの電話だった。クレジットカードを無断で作られて使われそうになったが、お店の人の機転によって守られた、とそのお店の人から電話があったというものだった。
さらに少しして警察からも電話があり、口座情報など聞かれたので答え、その「警察」から「犯人は近所の人かも知れないので誰にも言うな」と言われたという。
不審に思った大頭氏は、お店と警察に電話して確認を取るようにとアドバイスし、結果を教えてくれるように依頼。ところが報告の電話がかかってこない。そこで大頭氏は教会員宅に向かうことにした。
大頭氏を招き入れたものの、教会員はずっと電話に縛りつけられている。やがて電話の相手が「もうすぐ〇〇協会の担当が伺います」と言い、ほどなくチャイムがなった。典型的なカード詐欺の手口だと確信した大頭氏は、教会員や家人に危害が及ばないように、自らが玄関で応対することを決意。やって来た青年を中に入れると、内側から鍵をかけ、彼の両腕をつかんで、家人に110番通報を頼んだ。
必死に逃げようとする受け子の青年。しばらくの格闘の後、大頭氏の手を振りほどいた青年は、鍵を開け、マンションの階段を転げ落ちるように逃げていったが、駆けつけた警察官が近くの公園のベンチに座り込んでいる青年を見つけ、逮捕した。
今回のような高齢者を狙った詐欺事件は後を絶たない。また、大頭氏のように自ら対処することには危険も伴う。まず警察に電話して受け子を待ち受けてもらうのが基本の対応。
しかし牧会の中で、あるいは教会員の交わりの中で、日常的に何でも話せる関係を築くことで、個々人が守られるケースが少なくないことを今回の事件は物語っている。教会というコミュニティーの意義を改めて考えるきっかけとしたい。