【関西だより】共有・共働・共感の「3共」で自立支援を チェンジングライフ活動シンポジウム 「早く僕を見つけて欲しかった」

貧困や非行などの理由で自立困難な状況にある青少年の自立を支援するNPO法人チェンジングライフの活動報告シンポジウム「司法と福祉の狭間で困難下におかれた子どもたちの支援を考える」が2月6日、大阪市で開催された。今回はコロナ禍での感染防止のため、会場参加を制限する代わりにウェブ参加を併用し、合わせて約260人の参加者が熱心に耳を傾けた。
チェンジングライフは、長年にわたり非行少年たちの自立支援に取り組んできた野田詠氏氏(アドラムキリスト教会牧師)が2016年に設立した団体。社会でやり直したくても帰る家庭や再出発する拠点がない青少年の居場所づくり、生活支援、自立後のアフターケアを行っており、17年にはNPO法人の認可を受けた。自身も元非行少年であり、少年院在院中に手にした聖書の一節に衝撃を受けて更生。その体験が野田氏の働きの大きな柱であり、最近では、同様の働きをしている全国の団体や、国や行政との連携も様々な形でなされている。
第1部の基調講演は、西岡潔子氏(法務省矯正局少年矯正課長)による「少年の社会復帰の現状と課題~立ち直りを支える『手』と『輪』に~」。
最初に、支援に関する法律や制度が改善されてきていること、少年による刑法犯が減っていること、非行は思春期の問題の現れ方の一つであり、15、16歳がピークであることなどをデータを基に示し、問題行動は子どもと家庭のSOSであり、何に困っているかを知る手がかりとなるとした。

ウェブ参加を併用し開かれたシンポジウム

さらに子どもたちから話を聴く際に求められる姿勢や、彼らがSOSを出せるようになるのに必要な要素などを具体的に提示。少年鑑別所や少年院の入所者に見られる傾向を示し、彼らの自立支援のためどのような取り組みがなされているのか、それがどう変わってきているのかを紹介した。その上で、家族・関係者との協働・連携を進め「本人にとって大切なことは何か」という共通の視点に立って情報を共有し、チームで対応して支援を「輪」にしていくことが重要だと語った。

 

(第2部では、福岡少年院長の中島学氏が講演します。2021年3月7日号紙面