「私の重荷があまりにも大きくなりすぎています。主の憐みを受けることができますように」。中国共産党創設100周年記念日の前日、家の教会の伝道者から届いた祈りの要請である。地方の家の教会の一斉摘発が続いている中で、この伝道者は、その活動を辞めることなく、危険と背中合わせの毎日を過ごしている◆中国では、全国民にICチップでデータ管理された顔写真入りの身分証が発行され、その常時携帯と長距離移動やホテル宿泊の際の提示が義務付けられている。旅先で提示された身分証はカードリーダーで読み込まれて公安部のデータベースに送られるため、旅行や外泊の履歴などはすべて個人情報として当局に記録される◆ということは、伝道者もスマホを携帯すれば、どこを訪問したかなどが当局のデータに登録される可能性もある。そのデータで即、家宅捜査というわけではないが、ある日突然公安がやって来て、指導者の逮捕や聖書など信仰書の没収などの強制摘発が地方によっては起こっているという◆人間的に考えれば、今は出かけることを控えるべき時とも言える。だが、冒頭に紹介した伝道者のように、嵐の中に船をこぎ出す人々もいるのである。