結城氏、登家氏に戦争体験聴く 「異物排除し結束」が根本に

「第28回信州夏期宣教講座」(同実行委員会主催)が8月24日、オンラインで開催。今年のテーマは「戦後75年─敗戦時10代に聴く」で、信州夏期宣教講座のウェブサイト(Shttps://sksk1993.com/)にアップされた結城晋次氏(日本同盟基督教団引退牧師)と登家勝也氏(日本キリスト教会・横浜桐畑教会牧師)の「わたしの戦争体験」を聞いた上で、「講師を囲んで座談会(質疑応答・分かち合い・意見交換)」という形で開かれた。

結城氏

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結城氏は、横浜市鶴見区で経験したB29による空襲、8月15日敗戦の日の早朝の様子と数日後のB29大編隊の飛来、敗戦後の食糧難時代の体験などを語った。広島、長崎への原爆投下の正当化に疑念を抱き続けた。原子爆弾を搭載した「エノラ・ゲイ」がテニアン島に飛び立つとき、ルーテル教会の従軍牧師の祈祷の言葉を紹介。「立ち会った著名な科学者W・L・ローレンスは、それを非常に感動的な祈祷と評した。しかし、感動的な祈祷とは何なのか。主イエスが、この世の虚無を背にして祈られた『エリ・エリ・サバクタニ』こそ、広島・長崎に即した祈りではないか」。米宣教師に会うたびに原爆投下の是非を問うたが、「今さら何をと、けげんな顔をされた」と話した。
登家氏は、東京・下谷にいた頃の空襲体験を語った。「庶民にとって空襲は絶体絶命。空襲と飢えが重なった。国民が敵の襲撃や飢えにさらされているのに政府の人間や軍人は飢えていない。これが空襲の苦しみだった」。疎開先の中学校で仲間外れにされた経験も話した。「一人の犠牲者をつくってクラスを保つ。のけ者をつくって団結するという残酷なまでの基本構造が、日本にはある。教会の中にもあると感じる。それを克服しないといけないと思っている」と語った。

登家氏

(結城、登家両氏の講演を受けて、座談会では「原発投下の是非」「異物を排除して結束する」という発言に質問が集中します。2021年9月19日号掲載記事