著名な神学者、伝道者から各信徒までその人生に影響を与えたパウロ書簡とパウロ自身の生き様。神学的な議論もあるが、現在もローマ書を中心に様々な観点から多くの講解が出て信仰者を励ましている。パウロの福音を生きる ローマ人への手紙5章~8章4節講解』(鞭木由行著、いのちのことば社、3千300円税込、四六判)では、「人間は神の前にいかにして正しくありうるのか」が「人間にとって最も緊急で重大な課題」と強調する。実体験をもとに罪の深刻さと解放の喜びを語る。新改訳2017と聖書協会共同訳を随時比較し、特に「原罪」に関して違いを指摘した。

『N・T・ライト新約聖書講解9 すべての人のためのローマ書1 1~8章』(N・T・ライト著、浅野淳博訳、2千530円税込、教文館、四六判)では、ユダヤ社会、律法の歴史的観点から、創造から堕落、世界の再創造にいたる聖書の全体像を踏まえ、神の正義と信徒の生き方を励ます。

『[増補改訂版]パウロの生涯と神学』(朴憲郁著、2千750円税込、教文館、A5判)は、信仰者、伝道者、神学者としてのパウロの人生を前半で語り、後半では神、キリスト、人間、義認、サクラメント、教会などと教理的に整理し、パウロの神学を探っていく。アンティオキアで異邦人宣教に拡大し、ユダヤ人と異邦人、男と女、主人と奴隷からなるキリストの救済共同体が見えてくる。著者の在日ディアスポラ性、教育者、伝道者としての問題意識が各章に反映される。今回増補改訂版では、律法に関して近年の研究動向を踏まえて加筆している。


夫婦の在り方、思い煩い、成功、聖さ、感謝、終末…そうか、なるほど 《福音書、パウロ書簡前半編》』(中島總一郎著、いのちのことば社・フォレストブックス、千540円税込、B6判)は技術者、実業家として歩んだ著者の生活実感、人生への問いから、聖書の教えを学ぶ。「エッセイ」ではあるが、身辺雑記ではなく、聖書学校で学んだ著者は聖書自体が何を教えようとしているか整理する。

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