インドで迫害が横行 「改宗防止法」で迫害正当化? 警察の共犯も
ヒンドゥー教徒が多数を占めるインドでは、宗教的過激派によるクリスチャンへの迫害に加え、州政府レベルでの宗教的少数者に対する抑圧も起きている。「改宗防止法」を成立させた州は10に上り、多くのクリスチャンが被害を受けている。インド福音同盟(EFI)の宗教の自由委員会(RLC)からの報告による。
2021年クリスマス の日の暴力
12月25日の深夜、ハリヤーナ州アンバラキャントメントでは、2人の暴漢が町のシンボルである聖贖い主カトリック教会に侵入し、入り口にあるキリスト像を粉砕、頭部を芝生の上に投げつけ、手の届くすべてのライトを破壊した。さらには、戦争とインドの分断を乗り越えてきたその歴史的建造物のドアに放尿した。
この恐ろしい行為は、クリスマスの日にインドにある教会とキリスト教のコミュニティーに起きた16件に上る暴力行為の一つにすぎない。大みそかまでの6日間に、インド福音同盟の宗教の自由委員会は、インド全土で3件の殺人を含む505件の個別の暴力事件を記録した。
他の機関が把握している暴力事件を合わせれば、その数はより大きな数字になる。21年は、大量虐殺と大規模な暴力の脅威が、公の場で、そして政治的にも宗教的にも重要な人物により引き起こされた年となった。
3件の殺人事件もあったが、強制、脅迫、暴力の脅威、嫌がらせが137件と、キリスト教徒に対する最も「一般的な」犯罪であり、警察によるねつ造事件での逮捕は81件。これらのうち、17人が警察により投獄された。身体的暴力は84件発生し、7件では女性への攻撃が見られた。
規模を問わず教会での礼拝は、66か所で中断または停止を余儀なくされ、五つの教会が破壊された。特に部族内やその他の農村地域のコミュニティーにとっては深刻で、村八分や村落追放が36件、およびヒンドゥー教への強制改宗が7件、記録された。
犯罪の多くは、しばしば森の奥深くにある大きな村や部族の地域で発生する。多くの場合被害者は、恐怖のあまり迫害を報告することすらしない。警察に訴えても、警察は犯罪の調書も取ろうとしないどころか、場合によっては、共犯であることすらある。
カルナータカ州の改宗防止法では、異教徒間の結婚は犯罪とみなされ、キリストを信じる者は、改宗したりバプテスマを受けたりする前であっても、警察沙汰になり、社会的な嫌がらせにもさらされるようになる。カルナータカは、そんな法律を制定する10番目の州になった。
牧師が違反した場合には、長期の収監や思い罰金が科される。皮肉にも政府が信教の自由法と呼ぶ、この改宗防止法が可決されたところではどこでも、この法律が少数者や他の疎外された人々への迫害を正当化することとなった。以来、キリスト教徒とイスラム教徒、また少数派への攻撃は、近年急激に増加した。
改宗防止法は、六つの広範な基本的人権を規定するインド憲法および、インド政府が批准する国連の世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約に違反している。
(2022年3月6日号掲載記事)