園児たち

慈愛幼稚園の園舎

 

宜野湾市の宇地泊キリストの教会付属慈愛幼稚園(谷成悟園長)が、今年開園50周年を迎えた。今や卒園生の2代目、3代目が集う、地域で愛される沖縄県唯一の宗教法人立幼稚園だ。

1972年1月、米国キリストの教会のハーラン・エル・ウドラフ宣教師が、牧港キリストの教会を開拓し、付属幼稚園を開園したのが始まりとなる。沖縄が日本に返還される直前の頃だ。7月に現在の宇地泊へ移転。74年に教会付属の私立公認幼稚園として県の認可を受けた。

宗教法人立として、思う存分キリスト教保育が行えるのが強みだ。キリスト教精神に基づき、モンテッソーリ教育を取り入れた全人教育を実践している。全人教育とは、聖書による「光の子」らしく生きること。四つの建園の理念「美しい心」「強い体」「賢い知恵」「祝福される生活」の中心に十字架を据えた四つ葉のクローバーがシンボルマークだ。

保育を通してまかれた福音の種は、子どもたちを通して保護者に伝わっている。教会のイベントに父母が参加するなど、みことばに触れる機会は多い。子どもたちといっしょに、親も育つことが大切だと、谷成牧師は痛感している。

コロナ禍で開園50周年のイベントは難しい。「こんな中でも子どもたちはどんどん育っていますよ」と、谷成牧師。引きこもりやすい時だからこそ、外で遊ぶ時間を増やした。体全体を使って遊ぶ子どもたちの成長の著しさに驚くという。

谷成牧師はもともと関西の出身だ。20代の頃は大阪の枚方市の教会で無認可の幼稚園を開いていた。信州バイブルキャンプでチャプレン兼管理を約20年続け、その間5人の子どもたちが8千坪のキャンプ場で育った。

「上の3人は小学校まで片道6キロを通いました。おかげで車社会の沖縄でも、歩くのも走るのも苦にならない大人になりました。下の2人は就学前から沖縄育ち。案の定どこに行くにも車です」

我が子を通して生育環境の影響を目の当たりにした。幼児教育は人間の基礎作り。園の子どもたちがキリスト教の環境で、みことばによって成長してほしいと願っている。「子どもたちは霊的に飢えています。みことばを求めている。うちの園児たちはみんな、真剣に聖書のことを聞いています」

50人の園児たちを「孫がいっぱいいるみたい」と、谷成牧師。子どもたちへの愛がつないだ半世紀だ。

クリスチャン新聞web版掲載記事)