「国境の橋をたった一人で渡ってくる子どもがいる」 ウクライナ難民支援リポート
ウクライナ国境避難民支援緊急リポート
ミラノ賛美教会牧師 内村伸之
3月11日から16日までルーマニアに渡り、ルーマニアの川井勝太郎宣教師のアテンドをいただき、共にウクライナの国境支援の状況と避難民を受け入れている教会の視察と支援を行った。私は基本的に災害支援をプロの仕事と考えているが、今回は未曾有の事態であり、国境にあふれ返る避難民たちを愛し具体的な支援にあたっている教会の働きや必要を知って、それらの教会を後方支援するよう祈りの中で示された。
まずイタリア・ミラノから空路でルーマニアのクルージュナポカへ渡り、そこで川井宣教師と合流し、車で5時間かかるウクライナの国境を目指した。途中、ルーマニア教会のメンバーで社長をされている方のパン工場に立ち寄り、支援物資としてルーマニアの伝統菓子コゾナックを手に入れた。これは各避難所や道中で会ったウクライナ人のファミリーから大変喜ばれた。
国境の町スチャバではルーマニア教会の働き人クリパさんのお宅に泊めていただき、ウクライナ国内に残されている教会の窮状や必要を伺った。彼は自分でトラックを借り、現地で必要な食材や日用品などを手配し、ウクライナ国内の教会に届け続けている。
日曜日にはウクライナ国境のカラフィンデシュティという、避難民を教会堂で受け入れているルーマニアのバプテスト教会の礼拝に出席し、川井宣教師の通訳でメッセージを取り次がせていただいた。礼拝中、ウクライナから避難しておられる2人のクリスチャンが証しをしてくださった。
マリアさんはキエフから3日間かけて自転車をこいで国境を脱出。途中2晩を過ごし、夜中に起きたミサイル砲撃をくぐり抜けた。だが、こうして人々に受け入れられたことを感謝していると礼拝の中で語っておられた。
アンドレイ・ファミリーはウクライナ人だがロシア語で話した。アンドレイさんはモスクワに3年間出稼ぎ労働をし、ウクライナに家を買ったが、すべてを失ってしまった。これまでの人生は一体何だったのかと思ったが、こうして家族が守られている、だから神様のことを旅人として証ししていきたいと語っていた。
最後にシゲトゥ・マルマツィエイという国境の町に移動。そこでは国境の橋を渡ってくる避難民を多く目にした。親が国に残り、たった一人で泣きながら橋を渡ってくる子どももいる。ユニセフの統計では、一人で国を出された子どもは500人を超える。
現地では、本当につらい光景にはカメラを向けられなかった。この原稿執筆時点では、国民の4人に1人は難民になっており、4分の3は国内に残されている。戦いから1か月が経過し、物流網などが遮断され、都市部では食料がなくなってきているという。支援にあたっている教会メンバーやボランティアスタッフにも疲労が見られる。ミラノ賛美教会として今後も現地のニーズを把握し、継続的な支援にあたっていく。お祈りに覚えていただければ幸いだ。