ウクライナの船越真人宣教師から現地の情報が6月15日に編集部あて寄せられた。

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敬愛する兄姉へ

いつもウクライナのために、私たちの働きのためにお祈りくださり、心から感謝します。

ウクライナ東部では引き続き熾烈な戦闘が続いており、日々多くの死者が出ているニュースを読むたびに心が引き裂かれそうになります(毎日、数百名の兵士たちと多数の民間人が犠牲になっています)。

プーチン大統領は6月12日の“ロシアの日”前後から何も臆することなく本音を語るようになっています。つまり、それまではウクライナ侵攻の理由を、ウクライナ東部(ドンバス地方)のロシア系住民が“ネオナチ政府”によって迫害されているからそれを保護するためであるとか、ロシア人とウクライナ人の民族的な一体性を保持するためだとか、NATOの東方拡大を阻止するためだとか、いろいろと理屈をつけて軍事侵攻を正当化しようとしてきたのですが、ここへ来てまるでそれらの理屈を真面目に受け止めようとしてきた人々をも嘲笑うかのように、単に支配領土を拡大したいだけだという本音を堂々と語るようになっています。

特にロシア帝国の初代皇帝ピョートルを頻繁に例に出し、ロシア帝国時代の版図を取り戻すということを強調、現在はウクライナ南東部のノヴォロシアと呼ばれた地域(オデッサを含む)がその野望実現のターゲットとなっています。したがって、今激戦が続いているドンバス地方を制圧できれば、その地域を素早くロシア化し、そこを足掛かりにさらに西への拡大を目指してザポリージャとオデッサへの本格的な侵攻を開始する計画があることは明白です。ただ、その計画が現実のものとなるかどうかは今後のドンバス戦線の戦況にかかっています。ドンバスでの戦況は膠着状態の中でじわじわとロシアが支配領域を拡大していると報道されています。

しかし、西側諸国からウクライナに供与される武器が前線に到着して実戦配備されるようになると考えられている6月下旬、7月上旬には、戦況の変化が期待されていますが、現時点はまだ何も確定的なことを言うことはできません。私たちは日々固唾を飲んで情勢を見守っています。この状況の中で私たちは何をすべきなのか、何に備えるべきなのか、主からの知恵と導きを求めながら、日々の活動をしています。

今週の日曜日(6月12日)家内と私にとっては久しぶりとなるベレガヴァ教会での日曜礼拝でした(ここ数週間、私たちは日曜日はオデッサ教会かルーマニアなどの訪問先の教会で礼拝させていただくことが続いていました)。12日の礼拝ではピリピ2章より説教させていただきました。ベレガヴァ教会でオデッサ教会の兄姉が用いられて活躍している姿を見ることができたのも大変嬉しく、感謝でした。

翌日(6月13日)、滞在許可証をウジゴロド(トランスカルパチア地方の中心の町)の移民局で受け取ることができました。実は、私たちは毎年オデッサの移民局で滞在許可証(ウクライナで宣教活動するために必須なもの)を更新していたのですが、今年はこの戦争状態の中で滞在許可証を発行できないと言われてしまいました。どうしようかと困っていたところ、現在滞在しているトランスカルパチア地方の移民局で更新してくれるかもしれないという情報があり、トライしてみました。そして6月13日に無事に更新され、新しい許可証を受け取ることができました。本当に感謝でした。お祈りに感謝します。

6月16日(木)私たちはベリカ・ビーガンを出発して、17日(金)にオデッサに到着の予定です(今回はウクライナの中を通ってオデッサに行きます)。そして状況が許されれば、翌日(18日、土曜日)アントン兄、ジェーニャ兄、ヤリク兄、ミラスラヴァ姉と共にニコライエフ(ウクライナ語表記はミコライウ)に食料その他の支援物資を届けに行く予定です。東のクリミア方面から黒海沿岸を陸路によって進軍してきたロシア軍は現在、ニコライエフでその前進を阻まれている形です(このニコライエフが突破されれば、次はオデッサが攻撃の標的となります)。ロシア軍は今、兵力をドンバス戦線に当てなければならないので、ニコライエフでの戦闘は総力戦ではありませんが、一進一退が続いています。ニコライエフの住民は水と食料の不足に悩まされています。現在、ニコライエフの東側にはロシア軍が展開していますが、西側(オデッサ側)は安全なので、18日の朝の状況が引き続き安全であれば、ニコライエフ行きを敢行する予定です。道中の安全、働きの祝福、宣教の前進をお祈りください。

19日(日)はオデッサ教会で礼拝します(説教します)。この日の礼拝が主の臨在の中で喜びを持って捧げられますように、ぜひ、お祈りください。

愛する兄姉の尊いお祈りに心から感謝しています。

みなさまの上に主の祝福が豊かにありますように、心から祈っています。

船越真人・美貴