ウクライナの船越真人宣教師から現地の情報が8月17日に編集部あて寄せられた。一部編集して掲載する。

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いつもウクライナのために、そしてオデッサ宣教のためにお祈りくださり、ご支援くださっていることに心から感謝しています。

先週の土曜日(8月13日)ニコライエフ(オデッサの東120kmのところにある町。この町の東側でウクライナ軍はロシア軍の西進を食い止めています)の北にあるマリフカとノヴァ・ジティア、ビノグラドフカ、ノーバヤマリフカなどの四つの村に支援物資を届けることができました(片道約2時間半の道のりで、ニコライエフを通過して北上しました)。
前回そこに行ったときにも食料をお届けした避難民家族に加えて、今回また新しい避難民家族にも出会い、支援物資と福音を届けることができました。そこでは、息子たちを東部や南部の最前線に送り出している母親たちやロシア軍によって息子たちが捕虜として捕らえられている母親たちの言いようのない心配、また家族を戦闘で失った女性たちの深い悲しみと怒りを目の当たりにしました。ただただ、主からの慰めを祈るばかりでした。一回目にそれらの村に行ったときには懐疑的な目で私たちから支援物資を受け取っていた人々も、今回は大きな笑顔で私たちを迎えてくれ、心を開いていろいろな身の上の話をしてくれるようになっていました。彼らの心に福音の種がしっかりと届き、生ける神の言葉が根を張って実を結ぶようになることを心から願っています。この働きに祈りとご支援をもって支えてくださっているみなさまに心から感謝しています。

翌日(8月14日)の礼拝と聖餐式も豊かに祝福されました。家内と私は14日の礼拝後にオデッサを出発し、モルドヴァとルーマニアを経由してベリカ・ビーガンに火曜日(16日)に到着しました。8月21日の日曜日にはポーランドのクラクフという町にあるウクライナ人避難民が集まっている教会の礼拝で説教の奉仕をさせていただく予定です。その後再びベリカ・ビーガンに戻り、8月24日ベレガヴァの水曜集会で最後のメッセージをさせていただく予定です。そして25日にベレガ・ビーガンからオデッサに引き揚げることになります。オデッサの状況はいまだに不安定ですが、9月からオデッサ教会での活動をできる限り再開していく方向で準備を進めています。ぜひ、主の導きと守り、そして祝福をお祈りください。

私たちは7月30日から8月14日までオデッサにいましたが、その間に主は多くの前進を与えてくださいました。

8月1日、2日、4日、6日の4日間にわたり説教者たちの訓練セミナーを行いました。9月からの日曜礼拝では説教者のチームが交代でIIコリントをシリーズで説教することになっています。説教者たちが豊かに用いられるようにお祈りください。

「HOPEオデッサ」がスタートすることになりました。これは、他の町々、村々からオデッサに避難してきている方々に食料を配布する働きで、オデッサ教会の兄姉がボランティアとして参加します。この働きを通して人々の肉体的な必要とともに福音宣教が前進することを心から願っています。祝福をお祈りください。

「HOPEニコライエフ」(現在は前述のマリフカ村とノヴァ・ジティア村などの四つの村で行っています)をさらに発展させたいと願っています。具体的には、食料配布に加えてマリフカ村にある地元の教会と連携して、子供たちのためのプログラムを用意したいと考えています(本当に多くの子供たちが避難してきています)。

引き続き「HOPEソルジャーズ」を継続していきます。現在はおもに私たちの教会から兵役に行っている兄たちを通して、その仲間の兵士たちの命を守る装備を購入して提供するという形で支援を続けています。ただ、戦争収束後には帰還兵たちの心のケアという大きな課題が待ち受けています。そのために私たち教会には何ができるのか、何をすべきなのか、切に祈り求めています。ぜひ、お祈りください。

今年は残念ながら9月からJOYを再開することはできません。(一般の幼稚園も再開しませんし、公立の学校もすべてオンラインでの授業となります。)そこで、子供たちがそれぞれ家庭でするオンライン授業を、子供たちを教会に集めて、教師たちの監督と指導のもとで勉強する環境を提供する「HOPEスクール」を9月から始めることになりました(この働きは学校が通常の授業に戻るまで続ける予定です)。最初は少人数からスタートさせ、徐々に拡大させていくことができれば、と考えています(ナターシャ姉、クスーシャ姉、イーガル兄、美貴が教師として参加します)。ぜひ、祝福をお祈りください。また、この「HOPEスクール」に子供たちを送る母親たちのためのセミナーを毎週土曜日の午前中に行います。この働きの祝福のためにもお祈りください。

これらのHOPEプロジェクト(HOPEオデッサ、HOPEニコライエフ、HOPEソルジャーズ、HOPEスクール)が主の祝福の中で豊かに用いられ、奉仕する一人一人が主の愛に動かされてともに一致して前進していくことができるように、ぜひお祈りください。

また8月に行った説教者たちの訓練会は、9月からも毎週月曜日に継続します。それぞれのリーダーたちが強められ、各会が立て直され、さらに前進できるようにお祈りください。

去年8月に結婚したバーニャとアーニャの夫婦は、現在チェルカースイに避難しており、今月末にアーニャは出産の予定です。バーニャ・アーニャ夫妻の祝福をお祈りください。

9月3日に、イリヤ兄とクスーシャ姉の結婚式が行われます。この二人は、幼いころから私たちの教会の日曜学校、ユースを経て成長してきた二人です。イリヤ兄は去年12月から兵役につき、除隊してから結婚する予定でしたが、戦争が始まったため、戦争が収束するまで除隊できないことになりました。そんな中、二人はこの9月に結婚することを決めました。戦時中での結婚式、そして結婚しても二人で共に過ごす時間が非常に限られ、クスーシャ姉は常に夫の身を案じなければならない状況での結婚生活のスタートとなりますが、その中で二人を通して主の栄光が表されることを心から願っています(クスーシャ姉はHOPEスクールで働きます。彼女は非常に安定している姉です)。

現在、ロシア軍は戦力の軸足をウクライナ東部(ドンバス地方)から南部(ヘルソンとザポリジャ)に移しています。ロシアはヘルソン州とザポリジャ州を“住民投票”を経てロシアに編入してしまい、それによって、ウクライナがそれらの州の奪還を試みることを困難にしようと急いでいます。対するウクライナもそうはさせまいと占領されているヘルソン州の完全奪還を目指して戦力をそこに集結させ、本格的な奪還作戦の準備を着々と進めています。そこで激しい激突が起こった場合、その結果がどうなるのか、まったく未知数です。ウクライナが優勢に立ち、ロシアが撤退するのか、あるいは逆にロシア軍が優勢になり、ヘルソンを突破してニコライエフとオデッサにも進軍してくるのか、あるいはロシア軍がザポリジャ原発への攻撃やその他の戦術核兵器を使った行動に出るのか、まったく予断が許されない緊迫した状況が続いています。このような状況の中でウクライナ民間人、ウクライナ人兵士たち、そして自分の意思に反して動員されているロシア軍の兵士たちの命が守られ、一刻も早く戦争が収束することを切に願っています。そして、この状況の中においても教会が固く一致し、主を見上げ、ますます大胆に福音を言葉と行動によって伝えていくことができるように心から願っています。愛するみなさまの尊いお祈りとご支援に心から感謝しています。みなさまの上に、主の祝福が豊かにありますように、心から祈っています。

船越真人・美貴