国内外で緊急支援 心のケア

2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった。ウクライナのNATO加盟を巡って、両国間に緊張関係が続いていたが、ロシアのプーチン大統領は「特別軍事作戦」を宣言。ウクライナ領内への攻撃と、部隊の侵攻に伴い避難民が大量発生、国外千500万人、国内624万人に上るとされ、日本国内にも2千人以上が避難している。

ウクライナ宗教会議は侵攻前日、プーチン大統領に戦争回避のための公開書簡を送り、ロシア福音同盟もこの訴えを支持した。侵攻同日、世界福音同盟(WEA)、世界教会協議会(WCC)は声明を出し、侵攻への非難とともに、平和のために世界の教会に祈りを呼びかけた。首都キエフの教会では、千人規模で平和祈祷会が開かれた。
日本国内でも、反応は早かった。侵攻翌日の25日にはクリスチャン有志による「ウクライナのための祈祷会」がオンラインで開かれ、ハンガリー派遣宣教師からの祈祷課題を分かち合った。
キリスト教学校からも、建学の精神を土台に学長声明やメッセージが相次いで発表され、連帯の表明や祈りが呼びかけられた。28日以降、国際基督教大学、東京基督教大学、立教大学、聖学院大学、桜美林大学、酪農学園、青山学院、ルーテル学院大学、関西学院大学などが、それぞれメッセージを出した。

クリスチャン新聞は2月26日、ウクライナ国内で避難している現地女性を取材。誰も予想していなかった規模のロシア軍侵攻に混乱するウクライナ市民の状況と、歴史的文化的に近い関係のロシアに対する複雑な感情、「この国から出て行くべきはロシア人、私は国を離れない」と語る現地女性の声を伝えた。
国内外のキリスト教団体からは、世界YMCAと欧州YMCAが連名でウクライナ、ロシア双方への平和への連帯を表明、日本YMCA同盟が軍事侵攻反対と平和の連帯メッセージを、国際NGOワールド・ビジョンは子どもたちの心のケアを、国際NGOオペレーション・ブレッシングは緊急支援を呼びかけ、キリスト教放送FEBCはウクライナ放送局から緊急祈祷要請を配信した。

既存の団体以外でも、長年東欧宣教に従事してきた石川秀和牧師を中心に「ウクライナ難民を支援する会」が設立され、ルーマニア、ポーランドなど、ウクライナ周辺諸国に広がるネットワークを通じて、現地の宣教団体に支援を行った。
日本国内でも避難民支援コンサートが数多く開催され、また避難民の受け入れにYMCAや教会が支援。沖縄ではウクライナ人宣教師のナディヤ・ツバリュークさんが着任したのに伴い、その家族も来日。教会独自で行っていた支援の輪が地域ぐるみの支援に広がっている。
ウクライナ南部のオデッサで長年教会開拓に携わってきた宣教師、船越真人・美貴夫妻は、ロシア軍侵攻以来教会員家族らとともに西部に避難したが、その後も国内の戦禍を避け隣国を経由してオデッサと行き来し、残った教会員らと礼拝を守った。船越宣教師から頻繁に発信される宣教報告、祈りの要請は、本紙でも報道し、現在も随時「クリスチャン新聞オンライン」を通じて発信されている。オデッサに戻った後も、牧会とともに、教会員らと国内に残った市民への支援、兵士への支援、学校への支援を継続している。
クリスチャン新聞web版掲載記事)

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