「原発回帰か再生エネルギー活用か 私たちはどんな世界を目指すのか?」をテーマに、2023年度修学院フォーラム「エネルギーを考える」第11回(日本クリスチャン・アカデミー 関西セミナーハウス活動センター主催)が、7月30、31日に京都市の同所で開催された。

「エネルギーを考える」は東京電力福島第一原発事故後に専門家、神学者などを招いて、毎年開かれてきた。今回初日は原発問題について、福嶋揚氏(神学者)、片岡輝美氏(会津放射能情報センター代表)。2日目は再生可能エネルギーについて、近藤恵氏(二本松営農ソーラー株式会社代表取締役)、牛山泉氏(足利大学理事・名誉教授)が講演。参加した専門家、牧師、学生、神学生らは活発な議論を交わした。同フォーラムの概要を数回に分けて伝える。【高橋良知】


福嶋氏

福嶋氏は原発事故時、東京におり、原発反対デモや政治活動に参加してきた。現在長野県に移住し、地域の歴史・文化・生態系に根差した地域循環型社会形成に取り組む。講演では「原子力」の政治・思想的背景をたどり、地球生態系と人間を破滅させる「死の力」に対抗する「いのちの力」について、哲学的・神学的に考察した。

同じ力を指す「原子力」と「核エネルギー」が民事と軍事に使い分けられており、両者の根底には「国家」と「資本主義」の力があることを指摘。「戦争」と「平和(日常)」が地続きとなる「軍産複合体」の存在を明らかにした。

さらに「力」は交換様式だとして、柄谷行人著『力と交換様式』(岩波書店)を参照した。同書では、A互酬(贈与と返礼)、B服従と保護(略取と再分配)、C商品交換(貨幣と商品)、D(Aの高次元での回復)、の四つの交換様式を紹介、、、、、

2023年09月17日号   03面掲載記事)