日本聖書協会(以下、JBS)が主催する「聖書協会クリスマス礼拝」と、第34回聖書事業功労者賞の表彰が、12月8日、東京・千代田区の日本基督教団富士見町教会で行われた。

礼拝ではJBS理事の小海光(こかい・ひかり=写真上=)氏が、「光は闇の中で輝いている」の題で、イザヤ9章1、5節とヨハネ1章1~5、14節からメッセージした。
――キリスト者はこの二千年のうち何度、穏やかで平和なクリスマスを迎えたでしょう。預言者イザヤが見た世界と、二千年前のイスラエルと、この2023年の世界と、どれほど違いがあるでしょう。人間の目は、暗闇に突然入ると見えないが、しばらくすると目が慣れてしまう。私たちは、罪深い暗闇をさまよっていることに気付かなくなっているのかもしれません。
光は闇の中で輝いて〝いる〟。今日のヨハネの箇所でここだけが、過去形でなく現在進行形。今も光は輝き続け、私たちの中にも与えられている。闇に目も心も奪われている世界へ、光を分け与え広げていくという働きに、私たちは召されている。届けるべき言葉がある。
実は、夜闇が最も深まるのは夜明けの直前。私たちが闇の深まりを嘆くならば、夜明けは近い。一日も早く世界に平和が訪れるよう、ともに祈り、光をともしましょう――

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礼拝後の第34回聖書事業功労者賞の表彰では、社会福祉法人東京点字出版所の理事長、肥後正幸氏(写真右)が受賞した。
同出版所は19 26年創業。JBSの委託による聖書の点訳事業を行ってきた。56年、新旧口語訳聖書の点字原版制作と印刷。89年6月、『新共同訳聖書・全40巻』の点訳を完成。それにより90年5月、新共同訳聖書点字出版委員会より感謝状が送られ、96年12月には当時の理事長、肥後信之氏が第7回の同賞を受賞した。
今回の受賞は『聖書協会共同訳点字聖書』(全41巻)を2019~22年に発行したことによる。
肥後氏は受賞挨拶で、「点字には漢字が無く、全文がかな表記となり、単語と単語を分かち書きする。そのため、聖書一冊で40巻ほどになる。普通の出版社では分業するところ、点訳から印刷・製本まで全て所内で行っている。すべて手作業のため大変時間がかかる。最近はインターネットに点字は押され気味だが、点字は視覚障害者の文字であり、決してなくなることはないと思っている。これからも事業を継続したい」と話した。
【間島献一】