遺族で故人をしのぶ

 

コロナ禍が収まっても、葬儀は「元通り」にはならないのではないか。そんな予想をもって、キリスト教葬儀会社「輝」代表取締役の松崎充彦さんに話を聞いた。首都圏430件の教会葬儀を手がける「輝」では、「コロナ禍前」(2018年7月~19年6月)と「直近」(22年7月~23年6月)のデータを比較分析していた。その結果からいくつかの傾向が見えてきた。

まず葬儀形式では、前夜式を実施しない「葬儀のみ」は「コロナ禍前」は69%、「直近」で76%、「直葬」はそれぞれ8%、14%と微増に止まった。
ところが葬儀の規模となると、違いが顕著になった。事前告知の範囲として「コロナ禍前」では広く関係者を含む「一般」が43%、「家族親族教会員」が36%だったのに対し、「直近」では「家族親族教会員」が60%と過半数を占め、「一般」は12%に止まった。実際の参列者数では、「コロナ禍前」が50~100人が最も多いのに対し、「直近」は20人以下が最も多かった。「前夜式をしないのはこの10年の傾向。参列者数は今後少し回復するだろうが、全体の規模は縮小するのではないか」と松崎さんは予想する。

 

「手法は変わっても、キリスト教葬儀で普遍的なことは、礼拝だと思う」と言う。「キリスト教式葬儀には三つの目的がある。①故人の一生を守り、導かれた創造主である神様を礼拝する。②深い悲しみの中にあるご遺族の慰め、③参列された方が、葬儀を通して自分の人生と死について考えるきっかけ、です」

「手法の違いで言うと、教会の通常の礼拝でもそうだが、動画配信が広がった。海外にいる遺族などのために配信する方々がいる。動画やテクノロジーで葬儀を遠隔で実施することで、キリスト教式葬儀の目的の①や③はかなり達成できるだろう。ただし②になると、なかなか難しい。様々な手法はあるが、人の心は変わらない。それは聖書も教えてくれることだと思います」

家族構成の変化も未来に大きな変化をもたらしそうだ。「独身や独居、高齢者施設での生活などが増加している。そのため、ご自宅に安置することが難しくなっており、安置所に預かることが増えた。その他にも、葬儀の向き合い方が変わってきています」

教会での葬儀が直面する課題としては信徒の高齢化がある、、、、、、、

2024年04月07日号 04面掲載記事)