坂口聖子(日本基督教団 宮古島教会牧師)

教会が、3月に実施されたマイノリティ宣教センターのユースフォーラムの会場となり、自衛隊基地周辺なども案内。写真提供=マイノリティ宣教センター

 

 

宮古島に陸上自衛隊の駐屯地が開設されて、今年で5年が経ちます。「基地」はできてしまえばそれで終わりではなく、その機能を拡大・増殖し、次から次へとどんどん基地化が進んでいく状況です。それに伴い、あらゆる「事件」も起こっています。

沖縄の「復帰50年」の2022年には、海上保安庁の拠点港の伊良部島長山港で巡視船搭載二十ミリ機関砲の整備中に、8発ほど陸側に向けて誤射する事件がありました。発射された砲弾のいくつかはまだ発見されていません。おそらく地面にめり込んでしまい、捜索することができないほどの威力を持つものです。

さらに同年9月20日には安全保障上重要とされる施設や離島の機能を外国等の勢力から守る「重要施設等周辺住民監視規制法(以下、土地規制法)」が全面施行され、宮古島駐屯地を含むいくつかの場所も特別注視区域に指定されました。この法律の本質は、戦争する国づくりの法体系の一環に位置付けられること、そして国民監視を法的根拠をもって行う、という二つにポイントがあると考えられています。私たちの権利や生活に重大な損害を引き起こす可能性のあるものです。

宮古島や琉球諸島はこの法律における「国境離島」に属しており、注視区域や特別注視区域に指定される可能性が考えられます。

例えば、基地反対運動や集会を行えば、「国の重要施設である基地の機能阻害の行為をしている」とみなされ、認定されれば懲罰刑を含む処罰の対象になることもあり得ます。基地化が進み、それが法的にも整備されることで、私たちの生活を縛り、戦争に向かっていく国づくりが始まっています。それは特に宮古島のような国境離島と呼ばれる小さな島々から起こっているということを実感しています。

さらに、この「復帰」の年には、1972年に米軍から航空自衛隊の通信基地として引き継がれた航空自衛隊宮古島分屯地も50周年を迎えました。12月にはそのことを記念し、祝賀イベントが行われました。それは、ブルーインパルス展示飛行イベントでした。ブルーインパルスの離発着には宮古島の玄関ともなる宮古空港が使用され、市民による宮古空港の自衛隊使用に抗議する運動が行われる中、強行されました。

一方で島の人々は、イベントとして、飛行が見られるビーチでは大勢の子ども連れの家族が楽しんでいました。最近では島のイベントで自衛隊の車を展示したり、共催として関わる場合もあり、あらゆる形で生活の中に軍事化が関わっているという印象を強めています。

そんなムードの中、2023年4月6日には、陸自第八師団第八飛行隊所属のヘリコプターUH60JAが師団長ら幹部10人を乗せたまま、伊良部島沖合に墜落する事故が起こりました。この第八師団は有事の際に機動展開する部隊であり、秘密裏に宮古島周辺を視察していました。何を目的にしての視察だったのか、墜落の原因は何かは全て明らかにされていません。

さらに24年1月10日、陸上自衛隊宮古島駐屯地トップの警備隊長ら幹部隊員約20人が、制服を着用し、陸自のマイクロバス(公用車)で宮古神社を参拝していたことが明らかになりました。しかしこれは防衛省が定める、宗教上の礼拝所を部隊で参拝することを禁じた防衛省事務次官通達に違反する可能性があります(1974年の事務次官通達「神祠、仏堂、その他宗教上の礼拝所に対して部隊参拝すること」などを「厳に慎むべきである」)。さらに、陸上自衛隊は戦車を、南の島仕様に作り変えることを明らかにしたり、宮古島の公民館などの施設にはコロナも下火になったにもかかわらず、大量の遺体収容袋が持ち込まれています。これは災害救助訓練ではなく、戦闘を想定した遺体の収容訓練、あるいは実際に戦闘になったときに使用される可能性があります。

このように具体的な準備が整えられている最近の現状から見ると、、、、、、、

2024年05月05日号 04面掲載記事)